【ライトノベル最新動向】4月は下心くすぐる作品が続々!? 石川博品による待望の新刊も

【ラノベ最新動向】下心くすぐる作品が続々

 4月1日発売のスニーカー文庫は、情欲がそそられるようなタイトルの作品が勢揃い。とがの丸夫『敵のおっぱいなら幾らでも揉めることに気づいた件について』と凪木エコ『『おっぱい揉みたい』って叫んだら、妹の友達と付き合うことになりました。4』が並ぶだけでも十分官能的なのに、鏡遊『女友達は頼めば意外とヤらせてくれる』とヤマモトタケシ『冴えない僕が君の部屋でシている事をクラスメイトは誰も知らない3』も加わって、下心を大いにくすぐってくる。

 そこに、あきらあかつき『親友の妹が官能小説のモデルになってくれるらしい2』がありマキダノリヤ『浮気していた彼女を振った後、学園一の美少女にお持ち帰りされました』もあって、今の青春とはこれほどまでに官能と興奮にあふれたものなのかと、周囲に思わせてしまいそう。もっとも、小説が願望を満たしたい人に答えるために書かれるのだとしたら、青春小説に濃厚な関係が描かれていそうな作品が並んでいるのは、それだけ現実から遠いものだといった解釈も成り立つ。手に取って読み願望を満たしてスッキリとして、大変な日常を生き抜くために戦っている若者たちにエールを贈ろう。現実もそうだとしたら羨望のブーイングを浴びせよう。

 スニーカー文庫からは、アニメ化が決まった燦々SUNの人気シリーズ最新刊となる『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん6』が登場。学園祭を壊そうとする陰謀に主人公の政近は立ち向かい、アーリャさんに幸せをもたらそうと奮闘する。講談社ラノベ文庫から4月1日刊行のアサヒ『日本語が話せないロシア人美少女転入生が頼れるのは、多言語マスターの俺1人3』はシリーズ完結編。恋愛禁止の校則ができそうになるのを突破して、チーナとの仲を深め将来を模索する伊織の運命は? 現実のロシアをめぐる情勢は未だ混沌としているが、個人には罪はないことを噛みしめつつ誰もが仲良くできる未来を考えたい。

 根強い人気を持つ石川博品による待望の新刊『冬にそむく』がガガガ文庫から4月18日に登場。9月でも雪が降るようになった世界、神奈川県の海水浴場があった街に暮らす高校生の天城幸久は、総ガラスの前面を持った別荘にひとりで暮らしている同級生の真瀬美波とつきあうようになる。少し変わった世界設定の上で繰り広げられる素直なラブストーリーなのか、それとも世界の謎に迫るような展開があるのか。気になるところが多い作品だ。

 『神様のいない日曜日』の入江君人が4月20日にファンタジア文庫から刊行する『蜘蛛と制服』も、ダークな雰囲気をまとったファンタジー。イラストレーターは『神様のいない日曜日』でもコンビを組んだ茨乃が担当。異世界に転移した女子高生の琥珀は、蜘蛛の餌にされそうだったところを生き延び、3匹の人食い蜘蛛たちとともに迷宮を旅して歩く。人間と異種族との仲むつまじげな交流ストーリーかというとそうではなく、蜘蛛に肉体を与えることを厭わない琥珀の空虚なキャラクター性が、不思議な読後感をもたらす。

 ファンタジア文庫からは、小説投稿サイト「カクヨム」の現代ファンタジー年間ランキングで1位となった温泉カピバラ『金属スライムを倒しまくった俺が【黒鋼の王】と呼ばれるまで ~家の庭で極小ダンジョンを見つけました~』も刊行。三鷹悠真の家の庭にぽっかりと開いた穴が実はダンジョンで、金属スライムが毎日のように出現するのを倒していくうちに、悠真の体に異変が起こっていた。自分も含めて誰も知らないうちに世界を救ってしまうような展開から、痛快な気分になれる作品だ。

 2001年にスタートして、2014年12月に『ウィザーズ・ブレインIX 破滅の星〈上〉』が刊行されながら止まってしまっていた三枝零一のシリーズがほぼ8年ぶりに再始動。電撃文庫から4月10日に『ウィザーズ・ブレインIX 破滅の星〈中〉』が出て、2カ月連続刊行で章を終幕へと導く。人類の生き残りによるシティ連合と魔法士たちの組織した賢人会議の対立が続く中、賢人会議側のサクラによって人類を滅ぼす最終作戦が発動されようとする。存亡を巡る壮絶な戦いが繰り広げられそうだ。

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