ドラマ“あなおと”最終回直前! 宇垣美里 × 作画・梅涼 × 原作・宮口ジュンが語る『あなたは私におとされたい』の魅力
今まさに佳境に突入している、ドラマ『あなたは私におとされたい』(MBS)。本日2月16日に最終回を迎える本作は、“ゼッタイに不倫しない男”と“ゼッタイに不倫させる女”の攻防戦を描いた不倫サスペンスで、「サイコミ」にて連載中の同名漫画が原作だ。
そんな通称「あなおと」で“ゼッタイに不倫しない男”である直也の妻・夏菜を好演するのは宇垣美里さん。夏菜は、直也と同じ証券会社に勤め、社内結婚した後も若くして出世街道を突き進むバリキャリ。仕事と家庭の両方を担うその姿はまさに現代を反映した女性像そのものだが、実は直也との冷え切った夫婦関係や職場の後輩との向き合い方に日々頭を悩ませている……といった役どころだ。
今回は、宇垣美里さん、そして原作を手がける作画・梅涼先生、原作・宮口ジュン先生に“夏菜”というキャラクターを通して感じた本作の魅力、きたる最終回の見どころについてたっぷりと語ってもらった。(ちゃんめい)
「あなおと」は、大人が子供に転がされている話
――最初に原作を読まれた時の感想を教えてください。宇垣:ドラマのお話をいただいてから読み始めたのですが、どのキャラクターも私の倫理観からは少しずれているから感情移入はできない……それなのにどうしてこんなに続きが気になるんだろうと思いました。しかも、みんなちょっとした掛け違いでどんどん最悪な方向に転がっていくからもう目が離せないです。
梅涼:確かに「キャラクターに共感しづらい」というコメントは、読者さんからもコメントなどでよくいただきますね。でも、初期の直也は読者さんから「良い旦那さん」と言われたりしていて(笑)、それが“ゼッタイに不倫させる女”ノアの登場によって徐々に崩れていくところが本作の見どころかなと思います。
宇垣:なんだか“大人が子供に転がされている話”ですよね。例えば、直也と夏菜は大人。人や社会が求める正しさやルールに基づいて行動する、とても理性的ですよね。それが、まるで子供のように欲望に忠実なノアちゃんによってどんどん崩されていく。私は絶対にノアちゃんみたいなことはできないし、したくないけれど、だからこそ彼女によって崩されていく様子にある種の快感を覚えるのかなと思いました。
――続きが気になってしまうのは、その快感みたいなところと通じていそうですね。
宇垣:そんな気がします。今後どうなるのか全く予想がつきませんし、今までも一切当たったことがありません。ただ最悪な展開が待ち構えていることだけはわかりますね(笑)。
梅涼:予想の斜め上をいく作品だとよく言われます(笑)。
宇垣:でも、最初の印象がすごく爽やかというか、物語に入っていきやすいのは、やっぱり絵が綺麗だからだと思います。これで絵が独特だったら「味付け濃いよ〜!」と思ってしまうところですが、可愛らしいタッチなので物語にスッと入れます。ノアちゃんの怖さも、この絵の可愛さで少し中和されているところがあるのかなって。
夏菜は頑張り過ぎてしまうキャラクター
――今回演じられた夏菜にはどんな印象をお持ちになりましたか?
宇垣:すごく頑張り過ぎてしまうキャラクターですよね。女性も働いて出世が望める時代でありながら、依然として見えない壁がそこにあることは分かっているからこそ、夏菜みたいに常に肩肘を張っていて弱音が吐けない人もいるでしょうし、彼女に共感する人も多いのではと思います。でも、夏菜の言い方はちょっと考えた方が良いなと。「頑張りすぎだよ、落ち着いて!」って(笑)。
――梅涼先生は夏菜を描く上で気をつけていらっしゃることはありますか?
梅涼:夏菜は感情的になりやすいキャラクターなので、表情の描き方にはすごく気をつけています。例えば、怒った時の顔は「めっちゃ怖い!」と読者さんに思ってもらえるようにとにかく怖さを研究したり。反対に、悔しかったり悲しくて泣いてしまうシーンはそれが伝わるように。自分もキャラクターに感情移入しながら描くことを大切にしています。
宮口:夏菜は、元々勝ち気な性格ではあるんですが、日々の仕事に忙殺されているが故に常にイライラしているキャラクターです。その「感情のムラ」みたいな部分はリアルに描けるように気をつけています。
また、梅涼先生だったらこういう表情を描いてくれるだろうな……とイメージしながら書いたりしています。いつもイメージ以上の夏菜をしっかりと表現してくださってて、本当にありがたいです!
ドラマを見ている人が感情移入できる“怖さ”を
――宇垣さんは感情的になりやすい夏菜を演じるにあたってどんな役作りをしましたか?
宇垣:もちろん原作には原作の良さがありますが、その勢いで夏菜を演じてしまうと怖くなりすぎてしまうと思ったんです。原作の夏菜の怖さは二次元だからこそ活きる。けれど、生身の人間が同じように演じてしまったら、見ている人は感情移入できなくなってしまうのではないかなと。だから、原作のようにヒステリックに喚き散らすよりも、どすが利くイメージで低く怒ろうと意識していましたね。あと、嫌味をいうシーンは、嫌味というよりも本当に何も考えないでぽろっと言ってしまう……“怒る”で言わない感じを大切にしました。
――感情的に怒るよりも怖いかもしれません。
宇垣:そうなんですよね。感情的になりすぎると幼く見えてしまうし、私自身が夏菜をそういう人にしたくなかったので、結果的にすごく低い声で怒っていました(笑)。
――宇垣さんが演じる夏菜を見て、お二人はどんな感想を抱きましたか?
梅涼:夏菜が現実にいたらきっとこんなふうに怒るんだろうなと、もう私がイメージしていた通りでした。
宮口:宇垣さんが演じてくださった夏菜は、怒っていないシーンの演技が漫画よりもかなり優しくて可愛いんですよね。だからこそ怒る演技とのギャップがすごくて迫力がありました。
宇垣:ありがとうございます! 直也に怒るのはまだ良いのですが(笑)、会社の後輩の女の子に怒るシーンが心苦しくて、カットが入るたびに「ごめんね、そんなつもりはなくて……」とずっと言っていました。
――印象的な怒るシーンがありましたら教えてください。
宇垣:直也を演じる村井さんがすごく安心感のある懐が深い方だったので、彼の前では自由に怒れました。お芝居をする上での信頼関係が築けているからこそ、すごくやりやすかったです。例えば、3話で車の中でノアちゃんのハンカチを見つけるシーンや、4話の旅館で喧嘩するシーンとか、直也に怒るシーンは怒りを爆発させやすかったです。村井さんのお陰ですね。