「今もかきいれどき?」年末年始の書店、営業事情どうなっている? 書店員に聞く、正月時期のリアル
■正月に休む小売店が増えている
10年ほど前は、百貨店でも、スーパーマーケットでも、年中無休でもちろん大晦日も元旦も営業しているケースが珍しくなかった。ところがここ数年は、コロナ騒動や人手不足、働き方改革などの一環で元旦に休業する店が増えつつある。
例えば、スーパーマーケットチェーンの「ライフ」は、原則として1月1日~1月3日を休業している。従業員がしっかりと休養を取ることを重視しているそうだが、SNSを見ると利用者からも賞賛の声が上がっており、消費者の意識も変わりつつあるようだ。
では、書店はどうだろうか。筆者が生活する埼玉県内の個人経営の書店は、3日まで休みとする例がみられる。一方で、チェーン店は施設の営業時間によってまちまちのようだが、1月1日を休みとし、その前後の営業時間を短縮する例が多い印象である。
■チェーン店の営業日時はまちまち
参考までに、「TSUTAYA」の店休日を調べてみると、「六本木 蔦屋書店」「銀座 蔦屋書店」は1月1日、「中目黒 蔦屋書店」は1月1日~2日が休みだ。ところが、「TSUTAYA 三軒茶屋店」は営業時間の短縮があるものの、1月1日も営業している。
大型書店はどうか。「丸善」の場合、「丸善 仙台アエル店」は12月31日~1月1日の2日間、「丸善 丸の内本店」「丸善 日本橋店」は1月1日のみ休業だが、「丸善 ラゾーナ川崎店」は12月も1月も無休となっている。
このように、チェーン店であっても、全国一律で同じ日時を休業としていないケースがほとんどだ。店舗によって営業日時は細かく異なっているので、訪問前にホームページの確認は必須といえるだろう。
■書店は正月に結構本が売れる
一般的に、書店は12月がもっとも本が売れる月といわれる。冬休みや年末年始などの長期休暇に向けて本を買い込む人が増えることや、カレンダーや手帳などの需要もある。また、昨今ではクリスマスプレゼントなどの需要もあるらしい。
1月も本の売上が大きい月といわれる。以前に取材した地方のある書店主は、「ほかの小売店が休んでいるなか、何もやることがなくて退屈になった人は、本でも読もうかとブラッと立ち寄ってくれる人がいるので、正月も店を開ける」と話していた。
また、別の地方の書店は「帰省で訪れた人たちが寄ってくれるし、漫画の単行本を買ってくれるので、それなりの需要がある」と話していた。しかし、この書店もついに、1月3日まで店を休むようになってしまった。
書店主の高齢化で体力が衰えているのも要因とのことだが、書店で本を買う人が減少してしまった影響も大きいのだろう。地域の人は、帰省した親子連れが書店で絵本や漫画を買うのが正月の風物詩だったと話す。そういった光景が見られなくなったのは、寂しいものである。