LINEマンガとAMGが企画! 声優・速水奨の演技指導も「次世代声優発掘レッスン&アフレコオーディション」レポ&結果発表
■LINEマンガが次世代の声優を発掘
10月30日、国内最大の電子コミックサービスのLINEマンガとアミューズメントメディア総合学院(以下、AMG)がAMGを会場に行った「次世代声優発掘レッスン&アフレコオーディション」の実技レッスンを報道陣に公開。当日、会場にはAMGの学生19人が結集、ベテラン声優である速水奨氏から演技指導を受けるという貴重な機会となった。
本件は、AMGの声優学科の学生がエントリー可能なオーディション。希望者は1回ずつプロの声優から指導を受けたのち、アフレコ動画を個々に作成、さらにオーディションにかける意気込みなどを語った動画を制作して、SNSに投稿するという流れになっている。
最先端の電子コミックサービスであるLINEマンガが関わるオーディションということもあって、注目度も抜群だ。グランプリには2名が選出され、賞金50万円と広告動画出演権が贈られるという豪華なもの。そのほか、LINEマンガ賞は賞金10万円と広告動画出演権、特別賞は賞金5万円が贈られる。
はじめに、LINEマンガの担当者から挨拶と審査のポイントの説明があった。曰く、キャラクターへの理解、わかりやすさ、そして立体感が重要とのことである。LINEマンガの広告動画で重視しているポイントだそうで、プロの声優もこれらの点を意識しながら演じているという。まさに、プロと同等の演技を学生たちも行う必要があるのだ。
■カリスマ声優から直接演技指導
その後、速水奨氏がスタジオに登場。生徒たちからは拍出と歓声と共に迎え入れられ、速水氏は指導の前に「多少のずれよりも、自分が演じることを大切に」など、声優としての心構えを説いた。それを聞いた生徒たちは、礼儀の良い大きな返事で応える。皆、声優に対する熱心な心意気が感じられるので、見ている側からすると、誰しもに応援をしたくなってしまうほど。我々の記者席に向かってもしっかりと挨拶をしている生徒もおり、アミューズメントメディア総合学院の生徒たちの真面目さには好感が持てるものだった。
そして速水氏によるレッスンが始まる。生徒はグループごとに分かれ、LINEマンガの人気作『作戦名は純情』の映像に声をあてていく。マイクの前に立つと、学生たちの表情が一変し、キャラになりきっているのが印象的だったし、総じてレベルが高い。
学生の演技はいずれも甲乙つけがたいものだったし、同じセリフでも演者が変わればこれほど印象が変わるものなのだと驚かされた。声優は、キャラはもちろんだが作品世界についても深い理解が必要だ。そのうえでイメージを膨らませ、演じる必要がある。短い時間であったが、声優が行う芝居の奥深さを実感できた。
終了後、速水氏が個人個人に指導を実施。「言葉の頭が、はっきり出るといいかな」といった具体的なアドバイスを、生徒たちはメモを取りながら熱心に聞いている。 レッスン終了後、速水氏はメディアの取材に応じ、「限られた時間でめまぐるしくシーンが変わるので大変だったと思いますが、若さと瞬発力と対応力でどのグループもしっかり演じてくれたと思います」と感想を述べた。
また「教えている過程で、自分が10~20代のころに苦悩していたことを昨日のように思い出します」と振り返り、「自分だったらどう演じるんだろうと、シーンごとに考えながらアドバイスをする」と、指導の際に心がけていることを語った。今回の学生の中にキラリと光る人材が「何名かいる」と語りつつ、伸びる人材については「聞く耳を持っている人、耳のいいひと、自分でトライでき、トライすることが楽しいと思える人」と述べた。
■未来の声優界を担う人材はここから誕生する
演技指導を終えた学生にもインタビュー。指導を受けての感想として、「速水先生は自分にない音域で話されるので、耳がとろけるくらい感動しました。自分にない提案をいただくなど気づきが大きく、今後のために役立つと思いました」「夕方の教室のシーンだから声を抑えるなど、景色やキャラの心情を丁寧に考えて演じるなど、声優として大切なことを学べた」などの声が上がり、実りの多い時間だったことがうかがえた。
別の学生は「プロの声優さんは、音の長さ一つ一つをミリ単位で調整していることを感じました。調整できるフィジカルが自分には必要だと思い知りました」と、プロの仕事を前に圧倒された学生もいた。
他にも「点数をつけるなら50%くらい。胸を張って120%と言いたかったのですが、もっとその場の状況を鮮明に思い描ける演技ができたらよかった、と後悔しています。感情表現はできたと思いますが、場所の描写やキャラクターの性格の考えが足りていなかったので、この反省を次のオーディションに生かしたいと思います」と抱負を語った。
2000年以降、声優の仕事の幅は格段に広がった。従来のようなアニメにとどまらず、WEBコミック、ゲームなど多岐にわたっているし、アイドルとして活躍する声優も少なくない。アニメを筆頭にした日本のコンテンツ産業の規模は約3兆円という調査結果もあり、今後は世界的に活躍する声優が増えていく可能性も高い。そのように活況を呈している状況で、このようにトップの声優が後進を指導し業界で活躍できる場を設けるということは、とても意義のあることだといえるだろう。