「イブニング」休刊後も漫画雑誌の休刊や合併は続くのか? 漫画編集者に今後の見通しを聞く

漫画雑誌の休刊や合併は続くのか?

 講談社発行の漫画雑誌「イブニング」が、2023年2月28日発売号で休刊することが決定した。3月以降は「モーニング」編集部と合流し、またいくつかの作品は漫画アプリ「コミックDAYS」にて連載を継続する予定だという。

 好調が伝えられる漫画業界においても、やはり紙の「雑誌」は厳しい状況なのか。漫画編集者で評論家の島田一志氏は「まずは編集部におつかれさまでしたと申し上げたい」とした上で、「他社も含め、今後も漫画雑誌の合併や休刊が進んでいく」と予想する。

「時代として紙の雑誌の売り上げが下がっていくことは仕方がなく、それは全体として好調といえる漫画業界も例外ではありません。ただ、業界全体としては悲観すべき状況ではなく、これまでもハード(掲載媒体)が替わり、それに合わせてソフト(漫画作品)が作られてきた経緯がある。いま『漫画』といえば、王道として週刊漫画雑誌に掲載されているものをイメージする方が多いと思いますが、その形も『サンデー』や『マガジン』が創刊された1959年以降のものです。それ以前は赤本(※主に露店などで販売された少年向きの講談本)や貸本という時代もあり、80年代から2000年代にかけて生まれた多くの雑誌が集約し、ネットやアプリに移行していく時期に来たということでしょう」

 そのなかで一旦、役目を終えた「イブニング」は、どんな雑誌だったか。同誌は「モーニング新マグナム増刊」を前身としており、「“別冊”的な役割を果たしながら、社会派・骨太の良質な作品を届ける雑誌だった」と、島田氏は振り返る。

「『金田一少年の事件簿』『柔道部物語』『島耕作』など、人気作の続編やスピンオフの受け皿になりながら、山本直樹先生が新左翼運動をモチーフに描いた『レッド』という、及び腰になりそうな作品を覚悟を決めて連載しており、こういう漫画雑誌があることを心強く感じていました。子どもも含めてあらゆる人が読むことができるウェブサイトやアプリは漫画の普及に大きく貢献していますが、こういう作品はお金を払って購入した読者が読むという前提のある雑誌だからこそ、制作できた部分があるかもしれません」

 雑誌というパッケージが一部解体されていくことで、読者の目線や作品の質は変わっていくだろうか。島田氏は、最後にこうまとめた。

「いまはコミックスでしか漫画を買わない人も増えていますし、多くの出版社の作品がフラットに並ぶアプリで作品を読んでいる人もいます。つまり『何社の何誌で連載されているか』ではなく、より純粋に『どんな作品か』が重要になっている。ただ、そのなかでも『集英社らしい・講談社らしい・小学館らしい/ジャンプらしい・マガジンらしい・サンデーらしい』という作品は明確にありますし、雑誌のカラーも残っていくでしょう。『イブニング』においても、現場の編集者の方々には悔しい思いもあるでしょうが、20年以上に及んだ歴史はまったく無駄ではなく、“イブニングっぽい作品”というイメージも、それを目指す漫画家や編集者も残り、今後も漫画文化を支えていくと思います」

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