オリンピックで盛り上がる「卓球」を物語でも楽しみたい! 正統派から異色作まで、名作ライトノベル&小説を紹介

金メダルに沸く卓球を物語でも楽しもう!

 オリンピックの中継で、選手たちが金メダルを獲得してこぼす笑顔や、敗れて浮かべる涙を見ると、自分でもスポーツをプレイしてみたくなる。すぐのプレイが無理ならスポーツの雰囲気に触れたくなる。そこでフィクションの出番だ。ライトノベルやキャラクター小説などにも、意外とスポーツが題材となった作品がある。

 水谷隼選手と伊藤美誠選手のペアが、混合ダブルスで金メダルを獲得した卓球においても、プレイの神髄に迫れる作品が書かれている。

攻撃に防御にスゴ技炸裂! 谷山走太『ピンポンラバー』

『ピンポンラバー』(ガガガ文庫)
『ピンポンラバー』(ガガガ文庫)

 卓球ほどスピーディでパワフルな球技はないのかも。そう思わせてくれる作品が、第12回小学館ライトノベル大賞で優秀賞となった谷山走太『ピンポンラバー』だ。

 「音速の鳥」と呼ばれながらも怪我で挫折した飛鳥翔星という少年が、過去に敗北を喫した白鳳院紅亜に雪辱するべく、卓球エリートがひしめく私立卓越学園に進学する。そこで立ちふさがったのは紅亜の妹の瑠璃。翔星の弱点を故障した膝と見抜き、「氷壁の反射」(アイスカウンター)でバックを衝いて負かした瑠璃は、学園の頂点に君臨する姉を倒すため、翔星に共闘を申し入れる。混合ダブルスとして、鍛錬の果てにひしめく強豪をなぎ倒していくスポ根展開から、卓球のプレイスタイルや知識が学べるシリーズだ。

ゴスロリ服で卓球!? 蒼山サグ『ゴスロリ卓球』

「なんで卓球で、なんでゴスロリなんですか。なんで混ぜたんですか」
「美しいから。ほかに理由はいらぬ」

『ゴスロリ卓球』(電撃文庫)
『ゴスロリ卓球』(電撃文庫)

 この言葉にピンと来たら、蒼山サグの『ゴスロリ卓球』を読むべきだ。前後左右に走り回り、しゃがんだり伸び上がったりと激しく動く卓球を、美少女たちが動きづらいゴスロリ服でプレイしたらどのような光景が広がるか。そんな興味にギャンブルの興奮を乗せてセレブたちが楽しんでいる「ゴスロリ卓球」の世界に、一攫千金を狙い飛び込んだ少女たちの悲壮な戦いが描かれる。

 地下格闘ものに似た設定だが、ゴスロリ服から選手のバイタルデータを読み取り、戦術に反映させるという仕掛けはユニーク。アナリストのデータ分析が勝敗を決める現代のスポーツ事情を感じさせてくれる。

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