ジェーン・スーが語る、“未婚のプロ”の生き方 「大人になって、意図的に“悪さ”をするようになった(笑)」

ジェーン・スーが語る、“未婚のプロ”の生き方 「大人になって、意図的に“悪さ”をするようになった(笑)」

情報コンテンツもデイリー用品と同じ感覚で商売する

――30代半ばで、自分の力を知ることができたし、自信がついたと。その気づきは、今のお仕事にも通じていますか。

スー:そうですね。他業種で働くことで、全然見えてなかったことに気づくことができたのは勉強になりました。やっぱり多方面から見ないと、物事はわからないなと。特に、誰がどのタイミングでどんな風に情報を受け取るのか、想像できるようになったのは大きいです。まず、情報の発信者側が想定しているユーザーは本当に実在するのか、自分の目で確かめたほうがいいと思いました。

――今、情報を届けるために努力していることはありますか?

ジェーン・スー『これでもいいのだ』のカバー

スー:私もそうですけど、情報発信者って、どこかで受け手より発信するほうが偉いと思っている節が否めないと思います。情報を授けてあげる、みたいな気になっている。でも実際は、これだけ情報があふれている世の中ですから、もういらないという人がほとんど。情報発信だと偉そうになるけれど、普通の商品の販売だったらもっと低姿勢でいくはずじゃないですか。でも、なぜかコンテンツだと偉そうになる。ラジオもコンテンツ商売なのでそこは気をつけてますね。デイリー用品と同じ感覚で商売しないとよろしくないなと。

 今回の書籍の装丁に関しても、同じように意識しました。本としてどうこうというだけではなく、もっと競合範囲を広げて、缶入りのお菓子や限定品のコスメキットよりこっち(『これでもいいのだ』)を買ってもらいたいと思い、物として圧倒的にかわいいものを作ってくださいとお願いしたんです。デザイナーの佐藤亜沙美さんや編集部がすごい頑張ってくださって、こんなに細い箔押しまで実現していただきました。

――ブランディングやマーケティングのお仕事が本当に向いているんですね。アイウェアブランドの次はご両親の自営業を手伝うことになりますが、そのきっかけは?

スー:親が歳をとって自営業ができなくなって、お客さんもいるし誰かがやるしかなくて、私が戻ったという理由ですね。

――そこからどうやって執筆やラジオのお仕事につなげていったのですか?

スー:実家に戻ったものの仕事は暇だったんですよね。このままでは食べていけないなと思っていたところ、レコード会社の元同僚がagehasprings(アゲハスプリングス)という音楽制作とプロデュースの会社を立ち上げて、声をかけられて手伝ううちに、作詞の仕事やアイドルのプロデュースにつながっていきました。ラジオの仕事は、昔からの友達の高橋芳朗さんがゲストで呼んでくれたんです。「みんながあんまり知らない音楽業界の人をラジオに出したい」という理由で。

みんな自分にとっての“旨味”でしか動かない

――音楽業界のつながりが生きてきたわけですね。スーさんはラジオでも「オレンジページのレシピを作ってお金がもらえたらな」と発言していましたが、興味があることを口に出して種を蒔いて仕事につなげることもありますか?

スー:今はそういうフェーズにいるだけです。興味があることを口に出しておくと、ジェーン・スーは宣伝に使えるぞ、と判断した人から企画の話がくる。そういうことに使える人だと、過去の仕事で認知してもらっているからですね。でも、ラジオに出始めたころに「書く仕事したいんです」と口に出しても、仕事は来ませんでした。そこで、ちょうどテレビの仕事が少し入っていた時期だったこともあり、見た人が「この人、誰だろう」と検索したときにたどり着くページを作ろうと思って、「ジェーン・スーは日本人です。」っていうタイトルのブログを始めました。文章のサンプルがあれば、そういう仕事も来るかなと。実際、すぐに本の話が来ました。やりたいことを口に出すのも必要なんですけど、サンプルを見せるのも大事です。

――なるほど。商品が自分になっただけで、売り出していく方法はこれまでのブランディングや販売促進のお仕事の延長ですね。現在のフェーズになり、行動が変わった部分はありますか?

スー:Aというやりたい仕事をどうやって取るか考えたときに、正攻法ではない角度から攻めることですね。普通に考えると、AをやりたいならまずAの集団に入ることに固執してしまいがちだけど、Bの集団で頭角を現せば、Aから使えるなと思われてお声がかかるということを身をもって学んだので。

 私、レコード会社ではディレクターになりたかったんですけれど、何度異動希望を出しても、上司に直訴してもダメで。「くそ!」って思っていたけれど、今になってみるとそのやり方じゃなかったなと思います。宣伝の仕事でちゃんと頭角を現せば、ディレクションチームからお誘いがきたはず。そういうことは誰も教えてくれないんですよね。

 結局のところ、みんな自分にとっての“旨味”でしか動かないんだと思います。となると、自分が誰かにとっての“旨味”になる構造を作らなければいけない。最近、例えばツイッターで「この映画が楽しみ」と書くと、コメント依頼の話がきたりと、願いが仕事になりやすくなりました。それは、相手にとって今の私が“旨味”のある存在だから。でも、こういう状況はいつまでも続くものではないとも思っています。なぜなら、それは私の真価ではないから。この境遇に慣れすぎるのは良くないなと思いながら過ごしていますね。

――ご自身の価値を冷静に見られているんですね。

スー:そうかもしれません。私、商人の子なので、なんでも商いで考えちゃうんですよ。

■書籍情報
『これでもいいのだ』
ジェーン・スー 著
発売中
判型:四六判変型・並製
ページ数:256ページ
定価:1400円(税別)
発売:中央公論新社
特設サイト:https://www.chuko.co.jp/special/janesu/

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