『古見さんは、コミュ症です。』になぜ今ハマる? 青春時代を想起させる魅力

 人とのコミュニケーションが苦手な美人女子高生の古見硝子が、友達を100人作ることを目標に、普通ではない高校生活を送る『古見さんは、コミュ症です。』が、NHKでドラマ化されたほか、現在テレビ東京系にてアニメ版が放送中。2016年に漫画雑誌で連載がスタートした本作が、なぜ今注目を集めているのか、その魅力を考える。

勘違いやすれ違いが生み出すコメディ

 『古見さんは、コミュ症です。』は、近寄りがたいほどの美人女子高生でありながら人と話をするのが大の苦手な古見硝子が、相手の気持ちを察することが得意な只野仁人、驚異的なコミュニケーション能力を持った長名なじみの力を借りながら、友達を100人作ることを目標に高校生活を送っていくハートウォーム学園コメディ。2016年から『週刊少年サンデー』連載されているオダトモヒトの漫画で、単行本既刊23巻が累計550万部を突破している。

 増田貴久(只野仁人)、池田エライザ(古見硝子)らをキャストに迎え、9月6日からNHKで全8話を放送。ドラマでは万場木留美子など、原作では2年生になってから登場するキャラクターが最初から登場しており、古見さんの人見知り克服よりも周囲のキャラクターとの人間関係や、淡い恋心がメインに胸キュンドラマとして描かれた。10月6日から放送中のアニメ版は、原作に準じた流れで次々とクセの強いキャラクターが登場している。

 古見さんらが通う私立伊旦高校は、県内有数の進学校でありながら個性的であることが合格基準という設定で、実に個性的なキャラクターが古見さんの周りに登場する。あがり症で自分に自信がなく、「古見さんのイヌ」という形で古見さんの友達になる上理卑美子。病的なほど古見さんに好意を寄せ、常に古見さんの隣にいる只野を敵視する山井恋。負けず嫌いの矢田野まけるは、身体測定、テスト、運動会と、ことあるごとに勝手に古見さんにライバル心を燃やす。ほかに、眼帯をした“中二病”の中々や、忍者スタイルの忍野裳乃など。

 まさか古見さんがコミュ症であることは、只野や長名をのぞいてほとんど誰も知らず、そのため話しかけても無言だったりブルブル震えたりする古見さんの挙動を見て、古見さんの言いたいことを勝手に解釈し、その勘違いが物語をあらぬ方向へと導いていく。例えば国語の授業で音読できずにいる古見さんに、教師が音読の無意味さを悟らせられたり、長名がカフェのカスタムメニューを古見さんに注文させようとして、注文できず無言でいる古見さんに、店員が試されていると勘違いしてプロ魂を燃やしたことも。恋愛ものであれば切なさや胸キュンを生み出す勘違いやすれ違いが、ここではコメディを生み出す要素として一役買っている。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アニメシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる