『古見さんは、コミュ症です。』になぜ今ハマる? 青春時代を想起させる魅力
声優・古賀葵が「フンス!」など、息づかいで多彩な感情を表現
アニメで古見さんを演じているのは、『かぐや様は告らせたい?〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』のヒロイン・四宮かぐやなどを演じる古賀葵。同じ美人女子高生の役でも、古見さんはセリフらしいセリフがほとんどなく、「ぼぼぼぼ」とどもって同じ言葉を繰り返したり、言葉にならない声ばかり。しかし、同じ「フンフン」でも、興味をそそられた時の「フンフン」や同意の「フンフン」、気合いを入れた時の「フンス!」など、息づかいだけで実に多彩な感情を表現。古見さんを演じる古賀の演技は、声優ならではの神業だ。また、古見さんの友達作りの過程で様々なことに巻き込まれながら、嫌な顔1つせず協力し見守る優しさを持った只野を、アニメ『ブラッククローバー』のアスタ役などで知られる梶原岳人が演じている。梶原は声優デビュー後まもなくして、友達作りを目的にしたYouTubeチャンネル『ガクともチャンネル』を開設した経緯もあって、そんな梶原が今、古見さんの友達作りを応援する只野を演じているのが、なんとも感慨深い。
古見さんの一挙手一投足は実にピュアで、驚いたり興味を持ったりするとピョコンと猫耳が生えたり、照れくさくてノートで顔を半分隠す仕草、部屋で一人ジタバタするなど、原作で描かれているキュートな仕草がアニメでも満載。普段は長いストレートヘアをなびかせて凜とした印象の古見さんの中にある、どこか幼さも感じられる純真さは、誰が見てもほっこりするはずだ。また、シュッとした美しい古見さんとは逆に、目が大きくデフォルメされたされた表情の描写は、どこか昭和の漫画のテイストのような懐かしさを感じさせる。
アニメ『古見さんは、コミュ症です。』を見て、自分の学生時代を思い出す人も多いだろう。友達とお昼ご飯を一緒に食べたり、買い物に行ったり、夏休みにプールに行くなど、誰もが学生時代に経験しだろう普通のことを、次々と初体験していく古見さんは、在りし日の自分でもある。また、入学初日に黒板を介して只野と会話したシーンや、只野に自分が友達でいいのか問いただし、意を決して「友達でいたい」と告白したシーンなど、ジーンと胸が熱くなるシーンも多い。自分の青春時代に思いを馳せながら、人とのコミュニケーションのあり方を改めて考えさせたり、人の気持ちを察して思いやることの大切さに気づかせてくれる『古見さんは、コミュ症です。』は、コロナで人とのコミュニケーションの取り方が変化している今見てこそ、何か多くのことを感じる作品だろう。
■放送情報
『古見さんは、コミュ症です。』
テレビ東京ほかにて、毎週水曜24:00〜放送
キャスト:古賀葵、梶原岳人、村川梨衣、日高里菜、大久保瑠美、藤井ゆきよ、前島亜美、ブリドカットセーラ恵美ほか
原作:オダトモヒト(小学館『週刊少年サンデー』連載中)
総監督:渡辺歩
監督:川越一生
シリーズ構成:赤尾でこ
キャラクターデザイン:中嶋敦子
美術監督:佐藤勝
色彩設計:林由稀
撮影監督:並木智
編集:小島俊彦
音楽:橋本由香利
音響監督:渡辺淳
音響制作:HALF H・P STUDIO
アニメーション制作:オー・エル・エム
制作:小学館集英社プロダクション
(c)オダトモヒト・小学館/私立伊旦高校
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/anime/komisan/