増田貴久×池田エライザは見事なはまり役だった 『古見さん』が教えてくれた尊重し合うこと

『古見さん』が教えてくれた尊重し合うこと

 よるドラ『古見さんは、コミュ症です。』(NHK総合)が最終回を迎えた。連載中の原作漫画、ドラマを追いかけるように始まったアニメ、NHKのドラマと、週に3回『古見さん』が楽しめる類を見ないマルチ展開となったわけだが、コミカルさが際立つ漫画/アニメと比較した上でドラマを観ていると『古見さん』が伝える根本のメッセージがより分かりやすく見えた。

 それは、変わらなくていいということ。本作には自称フツーの只野仁人(増田貴久)とコミュ症である古見硝子(池田エライザ)のほかに、友達付き合いに悩みギャルメイクをする万場木留美子(吉川愛)、ジェンダーレスの長名なじみ(ゆうたろう)、イカつい見た目だが内面は繊細な心の持ち主の片居誠(溝端淳平)、汗っかきの阿瀬志吹(筧美和子)、潔癖症で自分に正直になれない潔清子(大西礼芳)、ナルシストの成瀬詩守斗(城田優)と個性的なキャラクターが登場してきた。

 例えば、普通の展開であれば古見のコミュ症を治そうと只野や万場木たちは考えるだろうが、彼らは古見が筆談もしくは直接話そうとすることをしっかりと待ち、その言葉を受け止める。何度もナレーションで謳われている通りに、コミュ症とは人付き合いを苦手とするだけで、関わりを持ちたくないとは思っていない。

 最終回のラスト、1年が過ぎ新学期のクラスになり、古見はコミュ症のまま。しかし、彼女の周りには只野をはじめとする友達がいる。もう古見は一人ではない。誰もがコンプレックスを抱えながらも、もてはやすのではなく、特別扱いするのではなく、只野たちのように優しく相手を尊重し合えればーー満開の桜を見上げる彼らを見て、そう思えた。

 「フツー」とされているが、相手と同じ立場になって、気持ちに寄り添うのが上手い只野。ドラマ版オリジナル要素と言ってもいい増田貴久の屈託のない笑みは、話しかけやすい雰囲気を自然に作り出していた。驚くのは恋愛要素が強くなっていった第6話以降。古見から戦力外通告されたと勘違いする場面では真っ黒な瞳でその切ない失恋の感情を表し、「好きです……」の一言には目を見開き喜びを隠しきれずにいた。『古見さん』における増田の演技で注目すべきは目だったように感じる。



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