『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』監督が語る、3部作構想の裏側とアニメーションの力

『ヒックとドラゴン』監督が語るアニメの力

 『ヒックとドラゴン』シリーズ最新作『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』が12月20日に公開された。『ボス・ベイビー』のドリームワークスが手がけた本作は、“人間とドラゴン”の新たな冒険を描いた物語。かつては敵同士だった人間とドラゴンが共存する世界で、弱虫なバイキングの少年から若きリーダーへと成長した“ヒック”と、ドラゴンの王となった伝説のナイト・フューリー“トゥース”たちが、史上最凶のドラゴン・ハンターに立ち向かいながら、新天地を目指して旅をする。

 監督は、1作目の『ヒックとドラゴン』、2作目の『ヒックとドラゴン2』に続き、ディーン・デュボアが続投。リアルサウンド映画部では、来日を果たしたデュボア監督に、3部作構想の裏側やアニメーションで物語を綴る醍醐味などについて、話を聞いた。

「10年かけて自分で語るだけの価値があると思った」

ーーシリーズ3部作のラストを飾る本作ですが、アメリカをはじめと興行的にも批評的にも大成功を収めましたね。

ディーン・デュボア(以下、デュボア):この作品がどのように受け入れられるかは、自分自身まったく予測できませんでした。それに、僕が唯一気にしていたのは、スタッフの反応なんです。なぜかと言うと、キャリアの初期の頃、本当にひどい作品にいくつか関わったから。徹夜をしたり、週末も休みなく作って身を捧げた作品が、家族も呼べないような恥ずかしい出来になってしまった経験を持っていただけに、当時は、自分がいつか監督をできるようになったら、とにかくスタッフが満足できるような、彼らが自信を持って家族たちに観せられるような作品にしようと決めていたんです。

ーーまさにそのような、3部作のラストに相応しい作品に仕上がっていると思いました。3部作の構想はいつから考えていたのでしょう?

デュボア:まず1作目の時は、『リロ・アンド・スティッチ』で共同脚本・共同監督を務めたクリス・サンダースとともにドリームワークスに招かれ、「16カ月後に映画公開」という恐ろしいスケジュールでした。なので、その当時は続編のことなんて考えられなかったのですが、1作目が結果的に大ヒットしたので、続編をやろうという話になりました。ちょうど1作目の終わり頃に、原作者のクレシッダ・コーウェルが遊びに来てくれて、原作の12冊目、彼女にとっての最後の1冊について、「なぜドラゴンがもう我々の世界にいないのか、彼らにいったい何が起こったのかを書こうと思っている」と言われ、ハッとして、ものすごく心を動かせられたんです。それで、続編のアイデアについて、1作目から始まる3部作にしようと考えました。

ーー1作目の終わり頃に3部作の構想が決まったと。

デュボア:それと同時に、ヒックの成長を追っていく三幕ものでありながら、1本ずつ独立した作品としても成立する3部作にしようと考えました。ヒックは最初、ぎこちなさの残る若い男の子として登場するのですが、最終的には自分に自信のある、他人を優先する聡明な族長になるという構想は、その当時からありました。また、ドラゴンがなぜこの世にいなくなってしまったのかも描きたいと思っていましたね。それと、ヒックとトゥースがお互いに大きな影響を与え合う関係性になるけれども、ゆくゆくは別れていく物語になるということも最初から決めていました。というのは、僕は『E.T.』や『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』『きつねと猟犬』など、その後の人生を変えるような大きな出会いからお互いの道を行くまでを描いた作品が好きだったからなんです。

ーー人気シリーズものは途中で監督が変わることもよくありますが、『ヒックとドラゴン』に関しては、3作ともあなたが監督を務めました。

デュボア:3部作の構想があって、どこが物語の着地点かはっきり分かっていたのは大きかったと思います。もし他の監督の手に委ねたら、絶対にそこには着地しないだろうとも思っていましたし、10年かけて自分で語るだけの価値があるものだと考えました。それと、僕にとって、ストーリーテリングにおける思いを育んでくれたのは『スター・ウォーズ』旧3部作でした。そのインスピレーションもあったので、自ら大きな物語を3作続けて語っていきたかったんです。

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