『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』監督が語る、3部作構想の裏側とアニメーションの力
「アニメーションの一番の力は、そこに普遍的な魅力があるから」
ーー『ヒックとドラゴン』シリーズ3作でコラボレーションを果たしたドリームワークス・アニメーションは今年創設されてから25周年を迎えましたが、『リロ・アンド・スティッチ』などディズニー映画にも携わってきたあなたから見たドリームワークスの“強み”はなんですか?
デュボア:僕がドリームワークスを好きなのは、スタジオのスタイルがないところなんです。ピクサーやディズニー・アニメーションは、作品を観ればどこのスタジオか分かりますが、ドリームワークスは『マダカスカル』『ヒックとドラゴン』『シュレック』『カンフー・パンダ』など、作品ごとにトーンも作風も全く違う。コメディの幅も広かったり、ポップカルチャー的な要素の強い作品からクラシカルな王道ものまで、本当に幅広い作品を手がけている。それは、スタジオとしての強さだと僕は思っているんです。もちろんスタジオとして一貫性のある方が観客の信頼に繋がる部分もあるかもしれないけれど、いろんなトーンで物語を綴ることができるのは、とても健康的なことなんじゃないかと思っています。
ーーあなたは過去にシガーロスのドキュメンタリーを手がけたこともありましたが、次は実写映画にも挑戦することが決まっていますよね。ドキュメンタリーや実写映画にはない、アニメーション映画の醍醐味はなんでしょう?
デュボア:アニメーションの一番の力というのは、そこに普遍的な魅力があるからだと僕は思っています。老若男女、世界中の誰でも、時代に縛られず楽しむことができる。実写映画の場合は、登場して過ぎ去っていく作品の方が多いような気がします。なので、ポップカルチャーとして残っていくものが少ないんですよね。アニメーションの方がマジカルでタイムレスな資質を常に持っている。それはもしかしたら、全てをイチから作らなければいけないことと関係しているかもしれません。つまり、手書きであれCGであれ、全てがイリュージョン(幻想)なわけで、全て“無”から生まれるものですから。アニメーションは“ワンダー”(驚き)と“マジック”(魔法)を表現するのに完璧なメディアだとも思います。可愛いとか笑えるとかシンプルなものを超えて、胸に迫ってくるような表現力を持っている。特に、宮崎駿監督のような才能ある方の手に委ねられれば、チャーミングなものと同時に、涙してしまうような感動を与えることもできる。それは、アニメーションが時には感情的に難しいテーマを扱うことができるからだと思います。
(取材・文・写真=宮川翔)
■公開情報
『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』
TOHOシネマズ 日比谷ほかにて公開中
声の出演:田谷隼、寿美菜子、深見梨加、田中正彦、松重豊
製作総指揮:ディーン・デュボア、クリス・サンダース
製作:ボニー・アーノルド
監督&脚本:ディーン・デュボア
原作:『ヒックとドラゴン』クレシッダ・コーウェル著(小峰書店刊)
配給:東宝東和、ギャガ
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