『銀河鉄道999』の原画やモニュメントも 松本零士の創作の秘密に迫る『松本零士展 創作の旅路』レポ

『松本零士展 創作の旅路』レポ

 『宇宙海賊キャプテンハーロック』や『銀河鉄道999』で知られる漫画家で、アニメにも監督やデザイナーとして携わった松本零士の創作の秘密に迫る展覧会『「銀河鉄道999」50周年プロジェクト 松本零士展 創作の旅路』が6月20日から9月7日まで、東京・六本木ヒルズ森タワー52階の東京シティビューで開催。19日に内覧会が開かれて、貴重なマンガの原稿や美しいイラストレーションがお披露目された。

東京シティビューのエントランスに展示されている『銀河鉄道999』のモニュメント

 会場に入るとまず目に飛び込んでくるのが、『銀河鉄道999』に登場する銀河超特急999号と駅のプラットフォームを再現したモニュメントだ。りんたろう監督による劇場版『銀河鉄道999』の映像が流れる中、プラットフォームに立って999号に乗ろうとする星野鉄郎とメーテルの姿を眺めながら、展示コーナーに並ぶ松本零士が辿った漫画家として、クリエイターとしての旅路に飛び込んでいく気持ちを高められる。

展示室の入り口に立つ『銀河鉄道999』の車掌さん
初めて公開された『虫の世界の探検記』

 『銀河鉄道999』に登場する車掌さんの立像に出迎えられて入った展示コーナーのZONE-1に並ぶのは、松本がマンガを描き始めた頃から上京して貧しい生活の中でだんだんと名前を知られていった時期に描かれた漫画の原画などだ。北九州の小倉にいて漫画家を志した14才の時の未発表作品「虫の世界探検記」(1952年)は今回が初の展示となる。実に73年も前のものとなるが、キャラクターも虫も草花も確かな筆致で描かれていて、その早熟ぶりがうかがえる。

『男おいどん』

 夜行列車で上京した松本が、狭いアパートで暮らしながら創作に取り組んだ時代の雰囲気が、絵になって現れていると言える名作『男おいどん』(1971年)の原画からは、漫画の世界で名を上げてやるといった強い思いが感じ取れる。「創作ノート」も展示されていて、作品を作るにあたって綿密に構想を練っていたことが分かる。『トラジマのミーめ』(1975年)のような少女漫画タッチの作品もあれば、無骨なメカが登場する「戦場まんがシリーズ」もあって、松本の作風の変遷と活動の幅広さを実感できる。

『宇宙戦艦ヤマト』
『宇宙海賊キャプテンハーロック』

 企画に携わり、監督を務め、メカニックなどさまざまなデザインを提供して松本の名前を一気に広げたTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト』についても、松本自身が手がけた漫画版の原画を展示。りんたろう監督によるTVアニメを通して世界中に大勢のファンがいる『宇宙海賊キャプテンハーロック』の漫画の原画や、アニメのために描いた絵コンテ、企画書なども並んでいて、この頃の松本がアニメと漫画の双方に深く関わっていたことが分かる。

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