『銀河鉄道999』の原画やモニュメントも　松本零士の創作の秘密に迫る『松本零士展　創作の旅路』レポ

　ZONE-2では、「唯一無二の創作宇宙」として、松本作品を語る上で重要な「宇宙」「女性」「メカ」という3つの要素が、どのように形作られていったかを作品を通して見せている。宇宙、旅する999号、そしてメーテルという女性が登場するという、3つの要素が詰まった『銀河鉄道999』の1977年発表の第1話を展示。鉄郎が機械伯爵に殺害された母親の敵を討ち、999号に乗って地球を離れる名場面を原稿によって目の当たりにできる。

　「女性」のエロティックな姿態を描いて大人の漫画好きも引きつけた『セクサロイド』を始め、美しい女性がスタイリッシュなポーズをとった原画には、今の美少女漫画とはまた違った魅力を感じる人も大勢いそう。メカについては魅力的な乗り物の絵などに混じって、「零士メーター」と呼ばれるメーター類がぎっしりと描かれた原画もあって、これがその実物かと感嘆できる。

　松本が宇宙をどのように描いたかが分かる展示や、巻物のような絵の上にナレーションを記入する表現方法、1ページを横に細かく割ったり、縦に幾つも割ったりするコマ割りなど、松本作品の特徴を解説するコーナーもあって、その独自性や先見性を確認できる。松本がどのような画材を使って描いていたか、参考書籍はどのようなものだったかが分かる展示も用意。写真や映像に登場する松本が被っていた、トレードマークのようなドクロマーク入りの帽子も並んで、在りし日の松本の存在を身近に感じ取れる。

　ZONE-3は「Artist Leiji Matsumoto」と銘打って、漫画とは違ったイラストレーションのような1枚の絵で世界を表現した作品を並べ、すぐれた絵描きでありデザイナーでもあった松本の才能の幅広さを見せている。

　『宇宙戦艦ヤマト』のヤマトや古代進、『銀河鉄道999』の鉄郎やメーテルが、巧みな色使いと構図によってスタイリッシュに表現されていて、当時見ていた人には懐かしく、新しく見る人には一時代を築いただけのことがあるカッコ良さを感じ取れる展示になっている。展覧会の監修にあたった北九州市漫画ミュージアム学芸担当係長の表智之は、「松本先生のことは知っていても、作品を見たことがない若い人に見てもらいたい。松本先生が描いてきた命の大切さに触れて欲しい」と話して、広い世代からの来場を呼びかけていた。

　物販コーナーもあって、どれも欲しくなるような松本グッズを販売。Tシャツや樽形でハーロックやクイーン・エメラルダスをイメージしたジョッキ、扇子にアクリルスタンドにキーホルダーといった多彩なアイテムが用意されている。

　『松本零士展 創作の旅路』の公式図録も販売。松本のデビューから晩年までの足跡をたどりつつ、未発表の初期作品を含め300点超の貴重な原画や資料によって、その偉績を振り返ることができる。漫画家として共に切磋琢磨したちばてつや、アニメ監督のりんたろう、松本のアシスタントを務め、『ハーロック』のヤッタラン副長のモデルとしても知られる漫画家の新谷かおるら、松本の創作を間近で見てきた人たちへの新規インタビューも収録している。

©松本零士／零時社

■イベント情報
「銀河鉄道999」50周年プロジェクト　松本零士展　創作の旅路
会期：2025年6月20日（金）～9月7日（日）※会期中無休
会場：東京シティビュー
住所：東京都港区六本木 6-10-1　六本木ヒルズ森タワー52階
開館時間：10:00~21:00（最終入館20:00）
料金：一般2,400円、高校・大学生1,700円、4歳～中学生1,100円、65歳以上2,100円）
主催：東京シティビュー
特別協力：零時社
協力：三映印刷
企画制作：東映、東映アニメーション
監修：表 智之（北九州市漫画ミュージアム）
後援：J-WAVE、TOKYO MX、在日フランス大使館／アンスティチュ・フランセ
公式サイト：https://leiji-m-exh.jp/
公式SNS（X）：https://x.com/leiji_m_ex
チケット情報：https://tcv.roppongihills.com/jp/exhibitions/leiji-m-exh/04/
問い合わせ：東京シティビュー　03-6406-6652（受付時間 10:00～20:00）

巡回展情報
北九州会場：北九州市漫画ミュージアム／会期　2025年9月27日（土）～2026年1月12日（月祝）
名古屋会場：名古屋市美術館／会期　2026年3月20日（金・祝）～6月7日（日）（予定）