【漫画】虚空に喋りかける幼稚園児、視線の先に何がいる? オチに落涙『春雷、たゆたう幽霊』

【漫画】虚空に喋りかける幼稚園児

 そこに誰もいないのに、まるで誰かがいるように話している子ども。幼少期を思い返し、「自分自身も似たようなことがあった」と思う人は少なくないのではないか。Xに投稿された『春雷、たゆたう幽霊』は、そんな見えない誰かと子どもの交流を描いた読切漫画だ。

 3歳の百葉は、自身が通う幼稚園で空中にプカプカと浮かぶ青年、もとい“幽霊”と出会う。幽霊には記憶がなく、幼稚園の外に出ようにも出られない。自分自身の存在意義に疑問を持ちつつも、百葉と遊ぶ中で心を通わせていくが、ある日、幽霊は自身の記憶の欠片が頭に浮かぶ――。

 儚くも優しい本作の作者・紘井ミチキさん(@161_michiki)に、どのように本作を制作していったのかなどの話を聞いた。(望月悠木)

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『春雷、たゆたう幽霊』©Michiki Hiroi/Shueisha

保育士の経験から着想

――『春雷、たゆたう幽霊』を制作した経緯を教えてください。

紘井:前職が保育士だったのですが、仕事中に何もいないはずの空間を眺めて、笑う子どもがいて、「おばけでもいるのかな~」と思ったことが、本作を作るきっかけになりました。

――ご自身の仕事から着想を得たのですね。

紘井:はい。保育士時代の体験に加え、自分の幼少期の思い出も影響していると思います。ネタ出しをしながら、幼少期の楽しかった思い出や黒歴史を思い出せて面白かったです!

――ストーリー構成の決め方は?

紘井:まず「幼稚園が舞台の漫画を描きたい」と思い、幼稚園にいた時のエピソードをいろいろ思い出してイメージを膨らませました。そこで考えついたのが、「幼稚園から出られない幽霊と、幽霊が見える子ども」という設定です。そこから、「何で幼稚園から出られないの?」「子どもとの関係は?」と肉付けしていきました。

――序盤は楽しく、中盤からは重苦しい展開でした。作中の空気感はどのように調整しましたか?

紘井:冒頭に「大人になったら見えなくなるもの」というフレーズを入れ、「いずれ百葉も幽霊のことが見えなくなるのでは?」という含みを持たせた導入にすることで、「ちょっと悲しい物語なのかも」というフリを効かせるなど、細かく調整しました。

3歳らしい言動を描く際に意識したこと

――百葉は3歳ですので、3歳らしい言動を描く必要がありますが、どのように百葉の言動を描きましたか?

紘井:どんな言葉を選んで、どんな言い回しにするかは、実際に接してきた子どもたちを思い出しながら描きました。

――また、罪悪感を隠し切れない表情、天真爛漫な表情など、百葉の表情を描くうえで意識したことは?

紘井:表情で百葉の気持ちが伝わるように意識しました。また、なるべく丁寧に描くことを意識しました。

――ちなみに、紘井さんが特に苦労したカットは?

紘井:男の子を描くのが苦手で、幽霊の作画に苦労しました。あと、幽霊の「べー」という表情がお気に入りなので、注目してほしいです!

――最後に今後の目標など教えてください。

紘井:最新巻が出るのを楽しみに待ってもらえるような漫画家になりたいです。また、「自分の作品がメディア化したら嬉しいな」と思っています! そして、現在「ウルトラジャンプ」(集英社)で連載中の『愛だとか復讐だとか』がクライマックスを迎えるので、この機会にぜひ読んでいただけますと幸いです!

©Michiki Hiroi/Shueisha

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