佐野元春が体現する“音楽のマジック”、ロックで届け続ける変わらぬ意志 「今井智子 ロックスターと過ごした記憶」Vol.6

音楽ライター 今井智子氏による連載「今井智子 ロックスターと過ごした記憶」。約50年にわたるキャリアの中で、数々の日本のロックスターたちに取材を重ねてきた今井氏。本連載ではその軌跡をたどり、取材時や舞台裏でのエピソードなども交えながら、彼らが時代に残した爪痕、音楽面での功績、ライブの凄みなどをたっぷり紹介していく。
第6回は、佐野元春を取り上げる。
忌野清志郎は日本の宝だったーー自由な反骨精神と優しさで魅せた“本物のロック” 「今井智子 ロックスターと過ごした記憶」Vol.1
音楽ライター 今井智子氏による新連載「今井智子 ロックスターと過ごした記憶」がスタート。約50年にわたるキャリアの中で、数々の日…仲井戸“CHABO”麗市:古井戸、RC、麗蘭…ギターを弾き歌うことで紡がれた出会い 「今井智子 ロックスターと過ごした記憶」Vol.2
音楽ライター 今井智子氏による連載「今井智子 ロックスターと過ごした記憶」。約50年にわたるキャリアの中で、数々の日本のロックス…大江慎也:ザ・ルースターズという色褪せない青春、確かめ続けたい過去 「今井智子 ロックスターと過ごした記憶」Vol.3
音楽ライター 今井智子氏による連載「今井智子 ロックスターと過ごした記憶」。約50年にわたるキャリアの中で、数々の日本のロックス…村越弘明:スライダーズから追い求め続ける“言葉の深み”と“理想のロック” 「今井智子 ロックスターと過ごした記憶」Vol.4
音楽ライター 今井智子氏による連載「今井智子 ロックスターと過ごした記憶」。約50年にわたるキャリアの中で、数々の日本のロックス…土屋公平:スライダーズ、麗蘭……無二のギタリストが巡り合った代え難い居場所 「今井智子 ロックスターと過ごした記憶」Vol.5
音楽ライター 今井智子氏による連載「今井智子 ロックスターと過ごした記憶」。約50年にわたるキャリアの中で、数々の日本のロックス…最近の佐野元春は、滅多に出ないTVのバラエティ番組に出演してユーモアのあるトークで親しみを感じさせたり、グレーヘアでライダースジャケットを着こなすファッションも注目されている。そして『FUJI ROCK FESTIVAL』や『RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO』といったフェスティバルに出演して幅広いオーディエンスを魅了し、進行中のデビュー45周年を記念した全国ツアーでは、変わらぬパフォーマンスで新旧のファンを楽しませている。彼を新たに知った人は「佐野元春はこんな人だったのか」と思うかもしれないが、1980年にデビューして以来、彼はあまり変わっていない。もちろん年齢相応の落ち着きと貫禄を感じさせもするし、かつては“Moto 'Lion' Sano”と呼ばれた伸びたくせ毛がトレードマークだったが、今は前述のように短いグレーヘアがトレードマークになっている。音楽的にも時代とともに変化したところはあるけれど、シングル『アンジェリーナ』でデビューして以来、佐野は少しもブレることなくスマートな音楽をやり続けている。スマートというワードには、“洗練された”とか“賢い”とか“活発な”とか“身なりがきちんとした”とか手際がいいとかいろいろな意味があるが、そのすべてを佐野の音楽は含んでいる。そのブレなさ加減を自ら示したのが、佐野元春 & THE COYOTE BANDの最新作『HAYABUSA JET I』(2025年)と言っていいだろう。



























