25年前の『ポケモン』書籍が異例の大ヒット「開発の舞台裏やウルトラヒットをした理由を知りたい人が増えている」

こうして復刊が本格的に動き出した『ゲームフリーク』だったが、著者のとみさわ氏も編集の林氏もそこまで売れるとは思っていなかったという。だが、蓋を開けてみたら大ヒット。25年前とはなにが違ったのだろう。
「2000年当時も、ポケモンは人気でした。ただ、そこから25年たって、ポケモン開発の舞台裏やウルトラヒットをした理由を知りたい人が増えているのでしょう。それにプラス、取材して書いたものではなく、実際に開発の現場にいた人間が書いたということも大きいと思います」(とみさわ氏)
「書泉での先行販売で買っていただいたファンの方々の高評価が、宣伝としては大きかったです。ただ、欲しい人は先行で買うものと考えていて、一般発売はそこまでの冊数を用意していなかったんです。それが情報公開をしたら、いきなりAmzonのランキングで1ケタに入って驚きました。このランキング入りがきっかけで、一般書店からの問い合わせが急増したんです。あとは表紙の帯の色を先行販売は赤、一般販売は緑というビジュアル的なインパクトも大きかったと思います」(林氏)

ご存知の人も多いと思うが、ゲーム『ポケットモンスター』の第一作は、捕獲できるモンスターが異なる「赤」と「緑」が用意されていた。それにならった帯の色は、ポケモンファンの心にかなり響いたことだろう。内容の良さはもちろんだが、25年という時を経たこと、売り方やビジュアルなどさまざまな要素があっての大ヒットであるようだ。
今回の『ゲームフリーク』の復刊に取り組んだのは新しい試みという意味合いが強かったという林氏。しかし今回のヒットには手応えを感じているようで、さらなる復刊にも取り組んでいきたいという。実際に太田出版ではやはり同社が93年に出版した『マンアフターマン』(ドゥーガル・ディクソン)を「書泉と、10冊」で復刊し、こちらも好調だという。今後も、過去に埋もれてしまった名著が、再び脚光を浴びる機会が増えていきそうだ。























