THE RAMPAGE 岩谷翔吾も共感! 話題書『すべての人にいい人でいる必要なんてない』がくれた人生のヒント

素敵な文章に触れることは、メンタルの健康を整えること
ーー誰しも「こうしなければいけない」と思い込んでしまうことがありますが、本書を読むと、別に無理しなくてもいいんだと思えますね。
岩谷:キム・ユウンさんは恋人に対して「もはや明日がちっとも楽しみじゃない。もう年かな」(90p)と言います。この一言にはグサっときました(笑)。この感覚、わかるな......ということは、自分も年なのかな、と。日々の生活はルーティーン化していきますよね。僕の場合は毎日のようにジムに行って、リハーサルをするというのがベースです。その前後に取材が入ったりもするのですが、それがなければ基本的には同じことの繰り返しになる。でも新人時代だったら、そのトレーニングもリハーサルも、毎回のように新鮮だったなと思い出しました。
書籍では、キム・ユウンさんと恋人が、その後二人で散歩をしている記述があります。すると恋人が二人分のアイスクリームを買ってくれて「楽しみじゃなくてもいい。楽しいことはこんなふうに、ふとしたときに生まれるんだ」(91p)と言うんですね。これを読んで、自分で無理に楽しみを探しに行かなくてもいいんだと、肯定されたような気がしました。ちょっと受け身の姿勢でも、楽しみは生まれるものなんだなと。
ーーそうした恋愛に関するエッセイが多いのも本書の特長ですよね。読んでどのように感じましたか。
岩谷:恋愛に関しても、すごく温かい言葉が多かったですね。「不思議だけれど、あなたと食べるご飯がいちばんおいしい」(111p)「雨が降って来たという知らせに、誰かのことが心配になったら、心に留めている人ができたということ」(127p)などの一節が印象に残りました。
小説『選択』で主人公・亮と恋人・美雨の恋愛について書いたことを思い出しました。恋人でも家族でも、隣にいてくれるような存在というのは、それが失われてしまったときに大切さに気づく。だから普段から、小さなことでもお礼を言ったりして、しっかり言葉にして伝えることが大事だと思いました。
ーーその初小説『選択』を昨年刊行し、作家としての顔を持つ岩谷さんですが、本書の文章表現について何か感じたことはありますか。
岩谷:キム・ユウンさんの文章を読んでいると、本当に温かくてやさしい方なんだろうなと思います。日本語に訳されてるとはいえ、自分だけの言葉、自分だけの哲学をお持ちの方だということが伝わってきました。普段から言葉遣いがとても丁寧な方なんじゃないかなと。
THE RAMPAGEはデビュー8年、結成から10年以上経ったんですが、ずっと意識しているのは、メンバーに対しての言葉遣いなんです。言葉遣いは誰もができる、おしゃれの一環だと思っていて。どうせ自分のなかから出る言葉だったら、いい言葉遣いのほうが受け取り手も気持ちがいい。キム・ユウンさんの文章を読んでいると、改めて言葉遣いは大切にしたいなと思いました。
ーーこの本はどういう人におすすめでしょうか。
岩谷:まず、自分を犠牲にしてしまって人間関係に悩んでいる方や、人の目を気にしてしまう性格の方に、ぜひ読んでもらいたいです。あまり気にせずに、ほどよく生きていくためのヒントがあるはずです。答えがはっきり書かれているというよりは、問いかけをしてくれるんですよね。その答えは自分で探していったらいいんだと思います。この本の言葉が頭のなかに残っていて、ふとした瞬間に「こういうことだったのか」と、点と点がつながる瞬間があるかもしれません。
そして、言葉遣いの話と近いんですが、自分のなかにきれいな日本語を取り入れると、メンタルが落ち着くと思います。SNSで拡散されているような刺々しい文章や、文法が間違っているような文章を吸収していると、心も乱されてしまう。栄養のあるいいものを食べたほうが健康になるのと一緒ですね。キム・ユウンさんの素敵な文章に触れることは、メンタルの健康を整えることにつながると思います。

























