THE RAMPAGE 岩谷翔吾も共感! 話題書『すべての人にいい人でいる必要なんてない』がくれた人生のヒント

岩谷翔吾の心に刺さったキム・ユウンの言葉

 人間関係に悩み、心をすり減らしてしまったような経験は、誰にでもあるのではないだろうか。そんなときに、心の重荷をそっと取り除き、気持ちを楽にしてくれる一冊がある。韓国で60万部を突破し、世界10カ国で翻訳されたベストセラーエッセイ『すべての人にいい人でいる必要なんてない』(著:キム・ユウン、訳:西野明奈/かんき出版)。著者は自身の家族、友人、恋人とのエピソードを振り返りながら、無理をせずに自分らしく生きていくヒントを伝えている。

 本書について「SNSが当たり前になった今の時代にこそ、多くの人に読んでほしい」と推薦するのが、THE RAMPAGEの岩谷翔吾氏。読者の心に響く言葉が随所にちりばめられていて、心が癒されるはずだという。そんな本書の魅力を岩谷氏に存分に語り尽くしてもらった。(篠原諄也)

この本には、心に刺さる言葉がとても多い

THE RAMPAGE 岩谷翔吾

ーー韓国のベストセラーエッセイ『すべての人にいい人でいる必要なんてない』を読んだ感想を教えてください。

岩谷:肩の力がスーッと抜けて、やさしい気持ちになりました。現代社会は精神面を安定させないと生きづらい世の中だと思うんです。僕自身、人前に出ることが多い仕事なので、プレッシャーはとても大きいです。でもこの本には、読者の心に刺さるような言葉がちりばめられていて、心を癒してくれるんですね。

ーー岩谷さんが特に好きだった言葉はありましたか。

岩谷:心に刺さる言葉がとても多くて。いろんな箇所に線を引いています。本書のタイトルに近い内容だと、次のような一節がありました。「自分にとっていい人になることにした。自分の時間と幸せのために心をどう使うかがわかった」(39p)。これは本当に大事なことだと思うんです。人生の主役である自分を大切にしないといけない。もちろん、誰かに愛情を注ぐことは素敵なことですが、そのためにもまずは自分自身を好きにならないといけないと思います。

 誰しもつい自分のことを後回しにしてしまう経験があるはずです。例えば、身近で最も大切にしなくちゃいけない人よりも、そこまで重要じゃない用事を優先してしまったり。でもちゃんと自分のことを好きになるために、まずは自分の本心に従って生きることが大切だなと教えてもらいました。

ーー他に共感した文章はありましたか。

岩谷:「人の輪の中にいても孤独を感じるとき」という項には、「人生という巨大な氷山の全貌は見ずに、海の上に出ている小さな部分だけを見て、それは違うと口を出す人がいる」(238p)という一節があります。そういうお節介な言葉は気にしないでいいんだと書かれています。これは僕も常々思っていたことでした。昨年刊行した小説『選択』でも、一つの軸としていたテーマです。

 人が生きていくなかで他人の目に触れるのは、切り取られた瞬間だけですよね。特に現代社会はSNSが流行していて、生活の一部が切り取られている動画に溢れていますよね。僕も衝撃映像10連発みたいな切り取り動画をよく見てしまうこともあるんですけど(笑)。でもネット上で切り取られているのは、その人の人生の一部でしかない。他の場面では、面白いことばかりじゃなくて、辛いことや悲しいことがあるのかもしれない。そういう視点を持って、情報に接するのは大事なことだと思います。

THE RAMPAGE 岩谷翔吾

ーー本書には友情にまつわるエッセイが多く収録されていました。特に印象に残った言葉はありましたか。

岩谷:素敵だなと思ったのが、著者キム・ユウンさんの友人の発言を引用した箇所でした。「ユウンといると楽でいい。お互いの人生にほどよく無関心で、お互いをいつも応援していて、ずっと信じていて、これはもう、十分すぎるくらいの友情だと思う」(244p)。これは人間関係の悩みを持つ人に対して、背中を押してくれる一節だと思いました。極論、人間関係はシンプルでいいんだなと。近すぎず遠すぎず、ほどよい距離感で楽しめたらいいですよね。

 他にも「子どものころは人といれば寂しくない気がしてよく一緒にいた。でも、そこそこ大人になったら変わったんだよね」(244p)という言葉があります。最近、子どもの頃の童心が羨ましいと感じる機会がありました。先日、高校の同級生とその子どもと一緒に旅行に行ったんですが、その子が本当に純粋なんですよ。遊びたいときに遊んで、寝たいときに寝る。お腹が空いたら泣き喚く。(子ども同士で)ぶつかって転んでしまって「ごめんね」と謝ったら、3分後には「一緒に遊ぼう」となっている。もしかしたら人間関係は、そういう感じでいいのかもしれないと思いました。すごく心が癒されました。

 でも大人になってからは「さりげない自慢も気づかないふりしてうらやましがってあげないといけなかったり」(244p)する。ここで思い出すのはやっぱりSNSです。僕は人間の9割はコンプレックスと葛藤でできていて、残りの1割でそれを見せないようにブランディングしていると思っているんです。SNSにアップするのはその1割の部分ですね。美味しそうな料理の写真、恋人と旅行に行った写真などを載せている。でもそれこそ氷山の一角なんですよね。人生はきれいでキラキラした瞬間ばかりじゃない。だから友人に対しても、無理をしてそういう瞬間ばかりを見せずに、自然体でいられたらいいんじゃないか。まさに本のタイトルの通りに「すべての人にいい人でいる必要なんてない」。そのように自分を持つということは、一つの強さだと思っています。

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