なすなかにし・中西が赤裸々に語る、相方・那須への想い「毎晩、実家まで確認しに行っていました」

なすなかにし・中西、那須への想いを語る

 『ラヴィット!』(TBS)など多数のレギュラー番組を持ち、ロケ芸人としても知られるお笑いコンビ「なすなかにし」の中西茂樹による初の著書『いまのところ』(双葉社)が発売された。

 本著は『EX大衆』で連載された「こじらせて、毎日青春」に加筆・修正、書き下ろしを加えたもの。これまでの自分自身を振り返りながら、ゲーム、ファッション、仕事、考え方など、タイトル通り中西の“いま”がありのままに綴られた1冊だ。中でも注目すべきは、いとこであり、相方でもある那須晃行への溺愛ぶり。インタビュー中も照れくさそうに芸人らしく周りにいる人を笑わせながら、本著に込めた心情や那須への思いを語ってくれた。

小さい頃からの夢が叶った1冊に

――本が完成した現在の率直な気持ちを聞かせてください。

『いまのところ』【中西茂樹(なすなかにし)/双葉社】

中西茂樹(以下、中西):いやぁ、本当に嬉しいですね。本を出したいという気持ちは子どもの頃からめちゃくちゃありましたし、自分の軌跡を残せたらいいなとは思っていたんですが、まさか本当に叶うとは。連載のお話をいただいた時も、本になるとは思っていなかったので、今は夢を見ているような気持ちです。

 この本では僕のことはもちろん、趣味についてなどいろんなテーマで書かせてもらったんですが、絶対に嘘をつかないでいようというのは決めていたんです。双葉社のみなさんにいろいろと質問いただきながらテーマを決めていったんですが、僕、質問されて答えるのが好きなんです。だって、いろいろと聞いてもらえるということは、興味を持ってくださってるわけじゃないですか。だから楽しかったですし、話してアウトプットすることによって、自分自身の考えが整理されていくところもありました。

――表紙のイラストや四コマ漫画も、中西さんがすべて描かれたんですよね。

中西:そうです。子供の頃は漫画家になりたかったんですが、小学校2年生くらいの時、その夢を諦めてしまってたのにまさか48歳で叶うとは。小さい頃からの夢がすべて叶ったので、今、人生がもう終わるんじゃないかと思っています(笑)。

 書籍化にあたって連載分も読み直したんですが、当時のことを思い出してほろっと泣いてしまいました。それくらい、いい本になっていると思います。特に、那須くんが倒れた時のことは、なかなか他の人にも話せなかったんです。

――芸人という職業上、難しさもあったでしょうね。

中西:なんかねぇ、照れくさいところもありましたし、基本、楽しいほうがええやないかっていう性格なのでね。けど、この本にはそのこともすべて書かせてもらいました。

 僕は今まであまり自分のことを話してこなかったんです。だから恥ずかしさもあったんですが、最初話したように嘘をついたらあかんなと。正直に全部、思っていることを出そうと思いながら書きました。

なすなかにし・中西茂樹

「マグロ丼買いに行ってこい」ーー転機とも言えるバイト時代のパシリ経験

――現在のご活躍につながるブレイクについても書かれています。個人的に、なすなかにしさんが若手の頃からお笑いシーンを見ていますが、「M-1グランプリ」で思うような結果が出なかったり、東京に拠点を変えてから仕事が順調ではなかったりとなかなか日の目を見ず、苦労された時代もあったと思います。ですが、書籍拝読して、目の前にある仕事と真摯に向き合ってきたからこそ今があるんだろうなと感じました。

中西:そう言ってもらえたなら嬉しいです。確かに、どんな仕事も手を抜いたことは絶対になかったですね。けれど、うまいこと行かなくて、今ようやく……ということですよね。

――2015年から始まったバラエティ番組『ウチのガヤがすみません!』(日本テレビ)でレギュラーガヤ芸人に選ばれ、その後『ラヴィット!』(TBS)でロケで培ってきたコンビ芸が注目を集めたことがブレイクに繋がったと記憶しています。若い出演者が多いと、人によってはプライドが邪魔してしまうこともあるんでしょうが、なすなかにしさんはいつも全力で楽しまれているからこそ、多くの視聴者から支持を得たのではないかと想像していました。

中西:僕もね、どちらかというとプライドが高めの人間ではあると思うんです。若手だった大阪時代、仕事を始めて割とすぐにお仕事をいただけたんです。それは事務所が用意してくれたものだったんですが、そんなことも気づかず、自分にはどえらい才能があるんじゃないかと思い込んでいて。お笑いもそんなに見ないまま芸人になったのに、ですよ?(笑)。そうやって調子に乗っていた時期はありました。

――どこで意識が変わったんですか?

取材中は、ライトに頭をぶつけたスタッフを気遣うなど、「調子に乗っていた」とは思えないほどの周囲への気配せを見せていた。

中西:東京にも、まぁいけるやろくらいの軽い気持ちだけで、何の準備もなく出てきたんです。けど、仕事がゼロになって、アルバイトをずっとしてたんですね。上野動物園の前で桜並木みたいなところがあるじゃないですか。あそこで肉まんを売ってました。

 ある日、店の人に「昼ご飯のマグロ丼買いに行ってこい」って言われて。パシリですよね。自転車に乗ってお店に行ったら閉まってたんで手ぶらで戻ったら、「マグロ丼がない時は天丼なんだよ。もう1回行け」って言われたんです、何しに東京に来たんやろう? と思ったと同時に、自分は大したことない人間やったんやということに気づきました。そこから、ちょっとずつ周りの人への感謝を覚えていって。変われたのは、本当に少しずつ少しずつです。

仕事がない時代、事務所から言われた厳しい言葉

――本著にあった、事務所から那須さんメインで売っていきたいと言われた時の、中西さんの選択も素敵でした。

中西:番組収録の1本目と2本目の間に呼び出されて、そう言われたんです。このタイミングで? って思いましたし、ネタも僕が作っていたので、なんで? っていう思いもありました。けど、そこでも目覚めたというか。那須くんに頼りっぱなしじゃあかんのかと気づけたのも大きかったです。

――地道にコツコツと頑張ることに、あまりスポットが当たらない昨今です。どんな仕事でも近道を探す人も多い中で、大きな回り道をしたかもしれませんが、真面目に頑張る大切さを、中西さんから教えていただいたようにも思います。

中西:そういう道を選んだのは、センスがなかったからというだけです。センスがあれば、僕も近道を探したかった。けど、できないなら、自分を受け入れて生きていくしかないですからね。僕らの世代でいうと、芸人はみんな、ダウンタウンさんみたいになりたかったんです。最初はそこを目指してやるんですけど、やっぱりなれない。じゃあ、どうしたらいいんだ? となった時に、自分と向き合う。これ、一番大事なことですよね。

 ありのままの自分を受け入れるのはなかなか難しいですが、唯一無二の存在になるためには同じところで勝負してもしょうがない。別の道を探して、そこでまた勝負するしかないんですよね。

地道な苦労の跡を見せることもせず、親しげにたくさん語ってくれた

――中西さんもいろいろと模索されたと。

中西:僕、一人で分析するのが好きなんです。で、考えたことを実際にやりつつ、ちょっとずつ正解に辿り着いていったというか。あぁ、これは違ったと思いながら考えるうちに自分のことがよりわかっていったり、徐々に自分の殻が破れていったりしたんじゃないかなと。そうやって、個性というのは出てくるもんなのかなと思います。

 特にスベった時は自分と向き合わざるを得ないですからね。失敗もプラスになっていきますし、やっぱり自分が一番、自分自身をわかってあげないとダメだと思うので、ちゃんと自分と向き合う。そうやって常に自分のことは俯瞰で見るようにはしています。

想像以上? 那須への溺愛ぶり

――また、本著には那須さんのことがたくさん書かれていますが、ここまで仲が良かったのかと驚きました。

中西:確かにびっくりされることは多いですね。みんな、いとこには法事でしか会わないと言いますから。けど、僕らは昔から本当に仲が良かったんです。例えば……これは大人になってからのことですが、妻(梅小鉢の高田紗千子さん)の存在を忘れて那須くんとふたりで帰ってしまったこともありました。

――(笑)。どういう状況ですか?

中西:僕と妻と那須くんと、もう一人くらいでバーベキューをしに行ったんやったかな? 帰りに那須くんが先に出て。妻は中でほかの人と喋ってたんですけど、僕は那須くんについて出てしまったので、あとで妻に「ちょっと、どういうこと?」って言われました(笑)。ほかにも、那須くんが家にいるかどうかを確かめるために、毎晩、那須くんの実家まで確認しに行っていました。昔のことですけどね。車があると、あぁ、今日は家におるなと思ったりして。

――車を持っているということは、大人になってからってことですよね?

中西:20歳過ぎてましたね。1回、那須くんのお父さんに見つかって何してるか聞かれたんで、急きょジョギングに切り替えて、「ちょっと走ってました」って言い訳しました。

話せばキリがないほど出てきそうな那須溺愛エピソード

――まさに溺愛ですね。ある意味、この本は那須さんへのラブレター的な1冊でもあるのかなと思いますが。

中西:そうかもしれないですね。本人には照れくさいから面と向かって言えないこともあるんですけど、思いをそのまま書きましたから。

 特に、那須くんが倒れた時のことはあえて言わなかったところもあったのですが、書籍化を機にちゃんと書こうと。みなさんも知りたかったやろうし、那須くん自身も倒れてたから記憶がないんです。僕が病室へ行って話したこととかも覚えてないし、僕も細かく話すのは恥ずかしかったので言ってなかったんですが、そういうことも書かせてもらいました。

――ちなみに、那須さんに本を渡される予定はありますか?

中西:まだ渡してないんです。ちょっと恥ずかしいところがあるんですよねぇ。それに、彼は自分で手に取ると思うんです。なんだかんだで、僕が一人で行った仕事とかもこっそりと観てくれていますし、一人で出たラジオも……おそらく聞いてくれていますし。逆に、僕は那須くんが一人で出ている仕事はちゃんと観てます。だから、僕が「読んで」と渡さなくても、こっそり読んでくれるんじゃないかと思いますけどね。

 もし渡すことになったら、1600円もらいます。売上にはちゃんと貢献してもらいます。

なすなかにし・中西茂樹

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる