愛犬や愛猫との最期のお別れ「一緒にいて幸せだった?」 涙なしには読めない『神様のペットカフェ楓庵』

愛犬や愛猫とのお別れ、最期に話せたら?

“神”登場の物語としての楽しみ方も

 特にこのところ、日本では神様をモチーフにしたエンタメ作品を目にする。2022年公開の新海誠監督によるアニメ映画『すずめの戸締り』には、猫の姿をした神獣が登場し、話題となった。また、つい最近放送されたばかりのTVアニメやドラマにも神が描かれることが多い。龍幸伸氏原作コミックのアニメ化『ダンダダン』(毎日放送・TBS系列)ではOPから鳥居が登場し、主人公のひとり桃の実家も神社。ドラマ『全領域異常解決室』(CX系列)には八百万の神々の物語が展開し、大きな反響を集めた。

 さて、『小江戸・川越 神様のペットカフェ楓庵』は、オムニバス構成でありつつ、美乃里や、目の奥に寂しさを湛えた八尋の物語を、全編を通じて紡いでいく本作からは、誰かと縁を結ぶことの大切さが、知らぬ間に入ってくる。切らさずにいれば、その縁はきっとまた別の場所、時と繋がるとも思わせてくれる。もちろんそこにペットや人の垣根はない。別れや後悔は誰にもある。でもどうにかして、「ありがとう」へと昇華できたらステキだと、変化していく美乃里の強さがそのことを感じさせてくれるはずだ。

ことのは文庫公式PV『小江戸・川越 神様のペットカフェ楓庵 大切なあなたに伝える、ありがとう。』

■書誌情報
『小江戸・川越 神様のペットカフェ楓庵 大切なあなたに伝える、ありがとう。』
著者:友理潤
イラスト:ゆいあい
定価:803円(本体730円+税10%)
発売日:2024年6月20日
レーベル:ことのは文庫
特設サイト:https://kotonohabunko.jp/special/kaedean/

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