【漫画試し読み】自己評価が低い白魔導師が真の力を発揮! 『勇者パーティーを追放された白魔導師、Sランク冒険者に拾われる』

 旅の途中で魔族の実力者に襲われたロイドたちを助けた「氷晶の勇者」セリオンも良い奴だった。直情的で暴力的ではあったけれど、それはロイドたちが故国に送り届けようとしていた獣人の少女クレハを拉致した敵に怒っていたから。セリオンが見せた力はロイドすら上回るもので、さすがは勇者であり世界には上には上がいるものだということも見えてくる。

 第7巻でロイドたちが対峙する魔族も相当な強さ。だったらその上に立つ魔王はどれだけの強さなのか? 冒険の先にある苦闘も想像に浮かんでくるけれど、ここまでいろいろと見せてきたロイドが本当に実力のすべてを出し切ったかどうかは分からない。何しろ師匠が「伝説のパーティー」の一員として活躍し、冒険者や人々の記憶に強く残り、銅像も造られるほどの存在だったマーリンだ。破格の実力の持ち主が鍛え上げたロイドが、今なお師匠の破格さを知らず、自分を過小評価し続けていることもあって、恥ずかしいからと見せていない真の実力があるかもしれない。

『勇者パーティーを追放された白魔導師、Sランク冒険者に拾われる ~この白魔導師が規格外すぎる~(8)』(モンスターコミックス)

 マーリンがどうしてロイドにそこまで関心を持ったのかといった疑問もある。ただの子供が優秀な師匠に鍛えられたからといって、空前絶後の実力者になれるものなのか? 何か理由があるのだとしたら、それが明らかになり、魔族との長く続く戦いとの関連も見えてくる中で、改めて驚くような規格外の実力を示すかもしれない。どこまでも興味はつきない。

 ダンジョン攻略でいっしょになったゴスロリ黒魔導師のシノが組むらしいパーティーは、どのようにしてロイドたちのライバルになっていくのか、ロイドを追い出してから転落し続けている勇者アレンが、世界に復讐しようと聖剣を奪い何を始めるのか。そんな興味もしっかりと残して紡がれていく物語。まずは11月29日発売の最新第8巻を読み、ギルドマスター主催で始まった「強化合宿」で示される冒険者たちの戦いぶりを楽しみ、がうがうモンスターでの連載を追っていこう。制作が決まったアニメの放送開始を楽しみにして待ちながら。

■作品情報
『勇者パーティーを追放された白魔導師、Sランク冒険者に拾われる~この白魔導師が規格外すぎる~』
漫画:椋野わさび
原作:水月穹
キャラクター原案:DeeCHA
レーベル:モンスターコミックス
出版社:双葉社

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