高須克弥「紙の本は富裕層かマニアしか読まなくなっていくのかな」未来はクラシックカーと同じ扱いに?

■減少の一途を辿る全国の書店

  美容外科・高須クリニックの高須克弥院長が担当する「夕刊フジ」の人気連載、高須克弥「Yes!高須のこれはNo!だぜ」が更新され、高須氏は「本屋がなくなっていくことで、最終的には紙の本は富裕層かマニアしか読まなくなっていくのかな」と、現在の出版業界や書店業界の衰退を残念がるコメントを寄稿している。

  高須氏の指摘通り、書店は次々に閉店している現状にある。出版科学研究所の統計によれば、2022年時点で全国の書店数は1万1495店。2003年には2万880店あったというから、20年ほどで1万店近く減少してしまった計算になる。特に地方の書店の減少は深刻なレベルで、教科書の取り扱いを行っていた地域一番店はなんとか踏ん張っていたものの、急激な少子化の影響で立ち行かなくなり始めた例もある。

  また、高須氏は、昔はやたらと難しそうで高額な本を購入する人も多かったと指摘している。その通りで、こういった人は、地方の医者や弁護士、公務員などのインテリ層に多かった。筆者も地方の“名士”の家を訪ねた際、ずらりと本棚に並んだ百科事典や漢和辞典、美術全集に圧倒されたことがある。名士によって、地方の書店は支えられていたのだ。しかし、こうした名士も高齢化が進み、地方の書店は経営危機に直面している。

  そんな中、値段が多少高価であっても、本の装丁や作りにとことんこだわった本が次々に登場している。その筆頭格が小学館である。近年、3万8500円の『名刀大全』や3万9600円の『鉄道開業150周年 日本鉄道大地図館』をヒットされているほか、3月29日に発売されたばかりの『高橋留美子原画集 COLORS 1978−2024』は、わずか1週間ほどで1万部を突破している。

 『高橋留美子原画集 COLORS 1978−2024』は6800円と、漫画関連の画集でも高価な部類に入るが、ネット上では賞賛の声が相次いでいる。こうした書籍の“グッズ化”が相次いでおり、高橋留美子の画集のヒットを機に、今後は鳥山明や松本零士などファンが多い漫画家の決定版ともいえる画集が刊行される可能性がありそうだ。

  この傾向が続けば、今後は高須氏の指摘通り、紙の本は富裕層やマニアが読むものになっていく可能性が高い。ビジネス書や漫画などは電子書籍で手軽に読む。美術書や画集などマニアックな本は紙で読む。こうしたすみ分けが一層進むのではないだろうか。また、紙の本は保存性という面では突出しており、資料性が高い内容や、学術的分野の書籍などは、紙のまま残っていく可能性が高いと思われる。

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