『SPY×FAMILY』アーニャに恋するツンデレ同級生・ダミアンはなぜ魅力的? 悩める「じなん」を徹底解説

『SPY×FAMILY』ダミアンの魅力

ダミアンと取り巻きたちとの友情

 ダミアンは、同じクラスで寮でもいつもいっしょの取り巻きがふたりいる。エミールとユーインという少年だ。「ダミアンが国の有力者だから取り巻きになっているのかな」と思いきや、彼らはダミアンが深夜まで勉強をしていたせいで罰則を受けたときは、ダミアンが頼んでいないのに自ら教師・ヘンダーソン先生の前で罰を受けそうな行動をして、ダミアンに付き合う。「エレガント」が口癖のヘンダーソン先生は、ふたりがダミアンを想う気持ちからそうしているのを見抜いて感激し、3人にほかの教師と野外学習をするように命じる。

 通常、有力者や有力者の息子と仲良くしようとする取り巻きは、何か見返りを求めて付き従っているイメージがある。ところがエミールとユーインは違うのだ。出会った当初はどうだったのかわからないが、いっしょに時を過ごすうち、この3人の少年の関係性は対等になる。「インペリアルスカラー」をもらえるという噂のあるお菓子を、アーニャ、ベッキー(アーニャの親友)、ダミアン、エミール、ユーインのうちひとりしかもらえず、ゲームで対決した時も、泣いているアーニャを見てダミアンはわざと負けるのだが、エミールやユーインは譲ったりお菓子を分けたりしない。ダミアンも彼らからお菓子を奪わない。これは通常の取り巻きのイメージとはかけ離れている。いっしょに罰を受けようとすることもあれば、ゲームでは対等な立場で参加する。ダミアンにとってもエミールとユーインにとっても、間にあるのは主従関係ではない。まぎれもなくこの3人は友だちなのだ。

 アーニャへの恋心だけではなく、ダミアンとふたりの少年たちとの友情も、本作の見どころである。6歳でありながら、無意識のうちに彼らは友情を育んでいる。当たり前のようにそれができるのはダミアンが権力を振りかざさないからだろう。

ダミアンを待ち受ける運命は?

 ダミアンは父や兄に起因するプレッシャーから逃れられるだろうか。これは本作のあらすじにも大きく関わるポイントである。ロイドに協力するアーニャ、ロイドの標的デズモンドの「じなん」で父を尊敬するダミアンには、どうか平和で幸せな結末を迎えてほしいと願ってしまう。とはいえスパイであるロイドとデズモンドはいつか決着をつけるはずだ。

 それぞれが持つ隠し事は、メインキャラから成る疑似家族だけではない。隠し事は伏せられたままなのか、いつか明かされるのか……。アーニャ、そしてダミアンは今後どうなるのかも含めて、『SPY×FAMILY』のページをめくる手が止まらない。

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「S.H.フィギュアーツ SPY×FAMILY ダミアン・デズモンド」(BANDAI SPIRITS)
(C)遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

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