孤独は成功のスパイスーー『王様ランキング』に込められた作者・十日草輔のメッセージ
デスパーの修行と共通する作者の実体験
理想の自分に近づくためには相手や自分を知る必要があり、自分を知るためには自分に合った武器や孤独に過ごす時間が必要となる。自分を知るためのふたつの方法は、作者である十日草輔氏の体験談と重なる。
十日氏が漫画家として活動するまでの過去が描かれた作品『脱サラ41歳のマンガ家再挑戦』(イースト・プレス)では、若き日の自分が液晶タブレットを購入したことが仕事を辞め絵の道を歩む決断につながったことが明かされている。
また部屋のなかで作品を描きながら内省を繰り返し、ひとりで創作に励む十日氏の姿は孤独を象徴しているように感じる。現にこの作品は十日氏の視点で描かれる部分が大半を占めており、十日氏以外の登場人物は極めて少ない。そして誰にも相談せず脱サラを決断したことを十日氏は「必要な孤独だった」と振り返っているのだ。
デスパーの修行に対する価値観は、もしかしたら十日氏の実体験から導き出されたものなのかもしれない。漫画家としての成功を掴んだ十日氏の原体験と重なる部分があるからこそ、デスパーの言葉は現実の世界にも通じる学びを、ボッジの成長した姿は理想の自分になれるという勇気と希望をわたしたちに与えてくれる。