『王様ランキング』ボッジの声が聞こえるキャラの共通点は? 優しさ溢れる設定を考察

『王様ランキング』ボッジの声を考察

※本稿は『王様ランキング』のネタバレを含みます

 2021年秋に放送・配信が開始されたアニメ作品において、満足度1位を獲得したアニメ『王様ランキング』(参考:満足度No.1は『王様ランキング』2021年秋アニメランキング中間発表《Filmarks調べ》)。アニメ「第三話 新しい国王」では、作中でヒステリックボインババアと称された王妃「ヒリング」の新たな一面が垣間見え、SNSでは彼女への共感の声が多くあがった。

 本作の主人公である「ボッジ」王子は耳が聞こえず、言葉をうまく話すことができない。しかし彼の義母にあたるヒリングは、ボッジの発する言葉にならない声を理解することができる。

 ボッジと会話できることは、本作において何を象徴しているのか。本稿ではボッジの声を理解できる登場人物の共通点を挙げ、上記の問いについて考察したい。

 王様自身のつよさや街の発展の度合いによって、各国の王様がランキング化される『王様ランキング』の世界。ボッジはボッス王国の王子でありながら、子ども用の剣を振ることができず、物語の序盤ではよわい存在として描かれる。とくにボッジは耳が聞こえないため、周りの子どもたちからは言葉をうまく話せないことを馬鹿にされてしまう様子も見られた。

 耳の聞こえないボッジのために、彼の側近は手話を用いてボッジと意思疎通を図っていた。しかし作中にはボッジと会話をすることができるキャラクターが登場する。前述したヒリング、そして影の一族である「カゲ」と複数の頭を持つ大蛇「ミツマタ」だ。

 カゲは暗殺を生業とした影の一族のひとりであり、彼は母親と共に一族を皆殺しにされた過去をもつ。周りから非難の声を浴びても人前で涙を見せないボッジの姿に心を打たれ、ボッジの味方になることを決心したキャラクターである。コミックス1巻「第1話」でボッジから金目の物を巻き上げようとしたときから、カゲはボッジの発する声を理解することができていた。

 カゲと同じく、ボッジと会話をすることができるミツマタは、ボッス王国四天王のひとり「ベビン」に仕える大蛇だ。まだ体が小さかったころ、人間に襲われていたところをボッジやベビンに助けられた過去をもつ。コミックス2巻「第17話」で、ボッジは消えてしまったカゲを捜すためにミツマタの巣を訪れ、ふたりで会話をする様子が描かれた。

 ボッジと会話をすることができるカゲとミツマタ、ヒリング。一見すると関連性のないように思える3人ではあるが、コミックス7巻「第87話」では3人の共通点と思わしき一面が垣間見えた。

 ヒリングと再会し喜ぶボッジの姿を見て、ミツマタはボッジの心が優しいのは常に抱きしめてくれる存在がいたからだと考察する。ミツマタが台詞を発した直後のコマでは、カゲが母親に抱きしめられた過去を、ミツマタ自身もベビンに抱きしめられた過去を想起する様子が描かれた。ボッジと会話できるキャラクターの共通点として、作中でだれかに抱きしめられた過去の描写が登場することが挙げられるのだ。

 では、ヒリングを抱きしめた人物はだれなのか。

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