Twitterで人気爆発『王様ランキング』がアニメ化でさらにファンを獲得するワケ 共感を呼ぶ“大人の絵本”の魅力
2021年10月14日よりアニメ放送が開始された『王様ランキング』。第1話が放映された直後には「王様ランキング」という単語がTwitterでトレンド入りを果たし大きな話題となった。原作はWeb漫画の投稿サイトにて掲載されていた同名漫画。Twitterで本作の口コミが爆発的に広がり単行本化、そしてアニメ化に至った作品だ。
アニメが放送された直後に数多くの感想が投稿されたため、本作のタイトルがTwitterのトレンド入りを果たしたと考えられる。視聴者は作品のどんな点に感動を覚えたのだろうか。本稿ではアニメ『王様ランキング』の「第一話 裸の王子」に寄せられた感想をもとに、本作の魅力について考察したい。
個性を豊かに感じられるキャラクターのひみつ
Twitterに投稿された感想を見ると、アニメのクオリティを称賛するものがいくつも見られた。アニメ『進撃の巨人』を手掛けたことでも知られる「WIT STUDIO」によるアニメーションもさることながら、TV番組『情熱大陸』(TBS系)などで知られる窪田等氏が務めるナレーション、唯一無二の世界観を築きあげてきた「King Gnu」とネット上で注目を集める「yama」が手掛けるテーマ曲ーー。作品を手掛けるスタッフ陣はとても豪華と言える。
そんな作品の感想として特に多く見られたものは、物語の主人公である「ボッジ」王子に対する声であった。原作と同様に「カゲ」と会話できたことがうれしくて喜ぶ様子や、周囲の人に馬鹿にされても平気なふりをして、陰で涙を見せるたむきな姿。そして試合で「ダイダ」王子に攻撃を当て口角が上がるボッジの表情から、数多くの視聴者に共感や感銘を覚えたのである。
原作者の十日草輔氏は著書『脱サラ41歳のマンガ家再挑戦 王様ランキングがバズるまで』(イースト・プレス)で、「キャラに行動させ、何を感じ、どんな反応をするのかを繰り返す」という漫画のテクニックを明かしている。例えば転ぶという行動に対し、怒ったり恥ずかしがったりするなどの反応によって、読者はキャラクターの個性を理解することができる。登場人物を知り理解することで、キャラクターの行動に予想や期待をするようになり、途上人物が「ほっておけない」存在になるのだという。
アニメの第1話においても、様々な行動に対し多様な感情をあらわにするボッジの姿が描かれた。故に視聴者はボッジを「ほっておけない」存在として認知し、特別な感情を覚えたのだろう。
非力でありながら健気な心をもち、特別な才能の片りんも見せるボッジをはじめとした、それぞれの個性を豊かに感じることができる本作のキャラクターたち。『王様ランキング』を語るうえで登場人物の魅力は欠かすことができないはずだ。