「ビッグコミック」創刊号の執筆メンバーが切り開いた道 その功績に迫る

「ビッグコミック」創刊号の執筆者たちが切り開いた道

自由な漫画表現への“開拓心”は受け継がれている

 さて、本稿の冒頭で、私は“ひとつの時代”が終わった、と書いた。だが、それは、それほど悲観すべきことではないだろう(むろん、ふたりの巨匠が亡くなったこと自体は、このうえなく悲しいことだが……)。というのは、60年代の末に、白土、手塚、石森、水木、さいとうの5人が上げてくれた絶妙なトスは、その後の、いまも続く日本の漫画文化の隆盛に間違いなくつながっていると思えるからだ。

 そう――1968年、「ビッグコミック」という“新雑誌”を通じて、5人の巨匠たちが切り開いてくれた道があったからこそ、日本の漫画――石森風にいわせてもらえば「萬画」――は、(子供だけのものではない)幅広い年齢層の読者に愛される自由な表現ジャンルに“成長”したといっても過言ではないのである。そしてその貪欲な“開拓心”は、紙からデジタルへという変革が求められている、あるいは、60年代末とはまた違う意味で漫画の形が変わりつつある、“いま”を生きる漫画家たちにも、きっと受け継がれていることだろう。

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