闘病から復帰果たしたエビ中・安本彩花が見つめる未来 「何にも染まっていない素の私も見せていきたい」
“復帰“というよりも“生まれ変わった“イメージで
――先ほど、いまでもセンチメンタルな気持ちに……とおっしゃっていましたが、今回の経験をされる前とされた後で、心の持ち方に変化はありますか?
安本:今となっては、すごくその経験がいい意味で大きな変化になっていて。むしろ明るく物事を捉えられるように変わっているので、自分にとって大切なかけがえのない時間になったんだなって思います。
――つらい経験って、乗り越えなきゃと思うとさらにとらわれてしまいそうになりますが、うまく付き合っていくという感覚がつかめてくる瞬間がありますよね。
安本:そうですね。いまはそんな感じになりつつあります。
――今回の写真集では壮絶な闘病時の思いもインタビューで収められていますが、ここまで気持ちの面で頑張ることができたのはどうしてだと思われますか?
安本:私はやっぱり歌うことが大好きで、「必ずまたステージに戻って歌うんだ」っていう思いだけは、常にブレずに持つことができたんです。それがやっぱり糧になっていて。くじけそうなときもあったんですけど、私には戻るべき場所があるんだって毎回思って頑張ることができたので。好きなことだったり、「これを頑張ったらこうするんだ」っていう願いが、大事だったなって思います。逆に、「ああ、私って本当に歌うことが好きなんだ」って気づかされた部分もありましたね。
――いま、ご家族のみなさんに対する思いはいかがですか?
安本:たくさん心配をかけてしまったからこそ、これからは本当に元気で楽しくやっているんだよっていう姿を見せたいなと思っています。きっとそれが私ができる親孝行というか、恩返しになるかなって思いながら。まわりのみなさんに感謝しながら、本当に小さなことから全部楽しんで、毎日過ごせているなって思います。
――体調管理の面で意識は変わりましたか?
安本:もともと私は何をやるにもやり過ぎちゃうタイプなので、いったん冷静になるように心がけています。そういう面では、すごくメンバーに助けられていて。みんな、私のそういうところはいいところでもあるけど、ちょっと気をつけようねって言ってくれて。私がちょっと頑張りすぎるときには「彩ちゃん! またやっちゃってるよ!」みたいに一声かけてくれるみたいな。自分でも気づけないことがあるので「あ、はい。気をつけます」って(笑)。すごくありがたいです。
――闘病中もメンバーのみなさんの存在は支えになっていましたか?
安本:はい。常に連絡をとっている子もいれば、ただただ優しさで見守ってくれる子もいたりして。1人ひとりの思いを感じることができました。「大好きな場所だし、大好きな仲間だから、絶対またみんなと歌って踊ってパフォーマンスしたい」っていう思いで頑張れたのも、メンバーがいてくれたからだし。みんなにもそう伝えると「待っているよ」「のんびり待っているからね」って、毎回安心するような言葉を言ってくれていました。
――ファンのみなさんからの言葉はどのように届いていましたか?
安本:InstagramのコメントだったりDMだったり応援のメッセージはもちろんなのですが、何気ないことを送ってくれる人たちがいたのがうれしくて。かわいい子や歌って踊れる子ってたくさんいるし、いつ自分のことを見てくれなくなっちゃうかわからないというか、いつまで待ってくれるかわからないなって不安になることもあったんです。でも、そういう何気ないメッセージをもらうことで、つながっている安心感というか「大丈夫だよな」って思うことができました。
――歌に関しては、今までと感じ方が変わったというようなことはありましたか?
安本:ありました。前までは歌っていて必死になってしまう部分が多かったというか。「この思いを伝えなきゃ!」みたいなのが強すぎて。純粋に歌うことを楽しむっていうことがちょっとおそろかになっていたなって気づきました。いまはとにかく歌っていることが楽しくて、その気持ちよさが発声にもすごく反映されているなって思う部分があるので、その感覚はこれからずっと大事にしていきたいなって思っています。
――発声から変化を感じたんですね。
安本:はい、すごく喉が開いているというか。もともと私はメンタルが歌に出やすいほうなので。嘘がつけないというか、自分のコンディションが全部出ちゃうタイプなんですよ。だからこそ、余計に感じられたのかもしれないです。前の歌もすごく好きだなって思う部分もあるんですが、また新しい挑戦の道が開けているのかなって思って。いろんな表現法というか、歌の表し方をしていきたいですね。
――素晴らしいですね。やっぱり治療して元の状態に戻ろうじゃなくて、バージョンアップしたという感じがします。
安本:本当、自分でもそう思っていて。復帰というよりもさらに強く生まれ変わったイメージなんです!
今度は希望をもたらす存在になりたい
――いまコロナ禍で、急な病と向き合わなければならなくなってしまった方や、社会の混乱に巻き込まれる形で二度とない貴重な青春やライフイベントが奪われてしまった方もいると思うのですが、安本さんから伝えたいメッセージはありますか?
安本:そうですね。実際に私も治療していく中で「自分の人生が1回ストップしちゃっているな」「まわりのみんなはこんなに前に進んでいるのに」って思ったこともありました。でも、テレビやネットを見るとみんなそれぞれのステージで悩んでいるなって思うことができたんです。だからなかなかうまく前に進めず苦しんでいるみなさんも、横を見ればきっと同じ思いをしている誰かがいるから、「独りじゃないよ」っていうことは伝えたいなってすごく思います。私も部活の大会がなくなってしまって悲しんでいる子の話をテレビで見て、事柄は違うかもしれないけれど悩んで苦しんでいるのは一緒なんだなって。だから、「いつか私もその子も笑える日が来るといいな」って、「一緒に頑張ろうね」って勝手に思っていました。
――そういう意味では、SNSで近いステージで悩んでいる人と繋がりやすい世界にはなりましたね。
安本:私もいろいろ検索しました。YouTubeとかでもまっすぐな気持ちをカメラに向かって話している人もいて。リアルタイムで同じように悩んでいる人もいれば、ちょっとだけ先を見せてくれる人もいて。逆に、わたしが次の誰かの希望になれるのかもしれないって思うことができました。
――希望のリレーですね。
安本:本当にそうなったらいいなって。今回、この世界は本当に人と人とが支え合ってできているなって経験したので。私が、そのバトンを渡せたらいいなって思います。
――直談判してセルフプロデュースの写真集の願いを叶えることができましたが、これからさらにやってみたいことってありますか?
安本:いろいろ社会が落ち着いたらニューヨークとか行ってみたいですね。新しい考えみたいなのが生まれるような場所に行って、刺激を受けたいなって思います。大胆な行動している人ってすっごく楽しいじゃないですか。そういう人たちが集まる場所でまた写真も撮りたいですし、できたら路上ライブもして歌いたいです。以前、エビ中でトルコに行ってライブをさせてもらったことがあって、路上ライブに近いというかほとんどゲリラライブだったんですけど、すっごく面白かったんです。国が違うだけで、こんなにもセッション感が違うんだって、発見ばかりで! そういうことを色んな国でやってみたいなって思います。
――いいですね! これからの活躍がますます楽しみになりました。最後に写真集の発売を待ち望んでいたファンのみなさんへメッセージをお願いします!
安本:ここまで私の帰りを待ってくれたみなさんに、感謝の気持ちを込めてこの写真集を作らせていただきました。そして、その先には「いろんな人に自信や勇気を与えたい」という強い思いを込めた作品ですので、何か少しでもみなさんの支えになれたらいいなって思っています。これを手に取ってくださったファンの方や、この写真集をきっかけに初めて私を知ってくださったみなさんには、SNSとかで感想やコメントをいただけたらうれしいです。そうやってみなさんのコメントをきっかけに、また新たな私の表現というか「じゃあもっとこういうことをやってみよう」ってなるような気がしていて。そう思うと、みなさんの手元に届くことにすごくワクワクしています。オフショットの部分には「こういう気持ちで撮ったよ」とか「この場所にはこういう思い入れがあるよ」みたいな読み込む部分もあるので、ぜひ隅々まで楽しんでください! よろしくお願いします!!
■書籍情報
安本彩花1st写真集『彩 aya』
出版社:SDP
定価:3080円(税込み)
安本彩花 サイン入りチェキプレゼント
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