声優・伊藤彩沙「プリキュアになりたい……!」 初めて口にした“大きな夢”と“コンプレックス”

2013年にテレビアニメ『ふたりはミルキィホームズ』の公開オーディションでグランプリを獲得し、主人公・明神川アリス役で声優デビューを果たした伊藤彩沙。以降は『BanG Dream!』、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』など話題作に出演し、着実にキャリアを重ねている。
そんな彼女にとって3冊目となる写真集『アヤサージュ』(KADOKAWA/2026年6月24日発売)は、水着やランジェリーカットに挑戦しており、自身も「自分でも見たことのない表情がたくさん」と語るほど、新たな表情が詰まった一冊。今回は、写真集の撮影エピソードや制作への意識、これまでのキャリアについて振り返ってもらった。
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3冊目にして自信作の写真集
ーー今作のオファーを受けた時の気持ちを教えてください。

伊藤彩沙(以下、伊藤):やはり3冊も写真集を出させてもらえることへの驚きが大きかったです。ひそかに“20代最後”というタイミングで写真集を出されている方々を見ていて「いいな~」と憧れていたので、お話をいただいたときは浮かれていました(笑)。
その一方で、3冊目だからこそ「より成長した姿をどうすれば見せられるだろう」ということも考えていて。自分が今出せるものは何なのかを、改めて見つめ直していました。
ーー「違いを出したい」という思いがあったんですね。
伊藤:やっぱり「前作を超えていかないと!」という気持ちはありました。2nd写真集(『HONEY』)は、何度見返しても自画自賛してしまうくらい素敵な写真集になったと思っているので「前作を超えるのは並大抵のことじゃないぞ」と考えていました。
ーー企画した編集者にすべてを任せるのではなく、声優の伊藤さんが「前作の写真集を超えたい」と考えていたのは、3冊目の写真集だからこそ生まれた意識なのでしょうか。それとも普段のお仕事全般に共通する考え方ですか?
伊藤:それは私の考えだと思います。これは事務所の社風……といいますか(笑)。私が所属する事務所はタレントの自由度が高く、私もデビューした頃からプロデュース精神を鍛えてもらって。イベントやYouTubeの企画などは自分で考えて挑戦させてもらえる環境だったので、常に私は「どうすればファンの方に喜んでもらうか」ということを根底に考えています。
それに私は、何かを作る時に「みんなで良いものを作りたい」という気持ちが強くて。いろいろな人が集まって、それぞれのアイデアを持ち寄ることで、一人では思いつかないような良いものが生まれると思っているんです。ブレストのように意見を出し合う時間そのものも大好きで、チーム全員で試行錯誤しながら作品を作り上げていく過程に魅力を感じます。だから今回の写真集も、チームみんなで「最強の写真集を作ろう!」という気持ちで臨んでいました。
「こんな表情を引き出してもらえたんだ」
ーー今作は大人っぽい妖艶なカットが多く収録されています。
伊藤:今回初めてご一緒したカメラマンの中村さん(中村和孝)が導いてくださったことが大きいです。中村さんは一枚の写真を撮るというより、流れや動きの中から良いカットを手繰りよせる方。例えば、撮影中に「くるくる回ってみてください!」と指示されて、その動きの中からすごく良いカットを撮ってくださりました。
ーーその最たる例が、枕投げのカットですね。伊藤さんが、本当に「投げてやるぞ!」というイタズラっぽい表情が魅力的です。
伊藤:私もあのカットはお気に入りです(笑)。あれはロケ最終日に撮ったので、チームの皆さんとも仲良くなっていたので、思い切ってはっちゃけられたんです。可愛らしい枕投げのシーンも良いんですけど、「ちょっと本気で投げている感じも面白いかも」と思って(笑)。このカット以外にも、この写真集にはお茶目な部分をエッセンスとして入れたいと思っていたので、私から提案させていただきました。
ーー白いドレス姿で崖に立っているカットは壮大で唯一無二のカットですね。危険な場所でしたが、撮影するのに躊躇はなかったですか?
伊藤:躊躇はなかったのですが、高いヒールでバランスを取りながら撮影したので、確かにハードでした(笑)。日差しも強く、照り返しもあったのですが、そんな厳しい環境だったからこそ、自分の中にある覚悟や強さのようなものが表現できたと思います。
それに、この撮影があったからこそ写真集チームの皆さんと打ち解けられたと思っていて。今回の撮影では、スタッフの皆さんとは全員初めてご一緒する方だったので、最初はすごく緊張していたんです。撮影初日は「どんな空気感で進めていこうかな?」と探り探りだったのですが、2日目にこの撮影があったことで、気持ちも吹っ切ることができました。

収録カット ©KADOKAWA / 中村和孝
ーーお気に入りのカットを教えてください。
伊藤:黒い衣装のカットやランジェリーカットは、自分でも見たことない表情ですね。写真を見ていると、自分でも少しドキドキするくらい(笑)。「こんな表情を引き出してもらえたんだ」と驚きました。ファンの方も、きっとこんな表情は見たことがないと思います。
一方で、私の自認は「怒りん坊」なんですけど、そんな一面をキュートに表現していただいた写真もあって。「ああ、私らしいな」と安心する部分もあります(笑)。これまで以上にグラビア色の強い内容となり、新たな一面を見せながらも、自分らしさをしっかりと残せた写真集になったと思います。
芝居への飽くなき探究心
ーー声優以外にも幅広くお仕事をしていますが、オファーを受ける際の考え方の軸はありますか?
伊藤: どの経験が未来の自分につながるのか分からないですし、特に20代のうちは、とにかく経験を積みたいという気持ちが強くて。好きなものはだんだん見えてきたけど、自分が苦手なことは何なのか知ることも大事だと思っていて。だからこそ、できるだけ多くのことに挑戦したいという気持ちがあります。

ーー経験を重ねると、慣れることも増える分、新鮮さを感じられなくなることもあります。
伊藤: 確かに、経験を重ねるほど慣れることは増えますし、初めての頃のような新鮮さを感じにくくなることもあると思います。でも、私はその中でも常に新しい自分を探すことを意識しています。同じ作品づくりでも、その時々で違う発見がありますし、「もっとこうできるかもしれない」と考えることが私にとっての新鮮さに繋がっているのかもしれません。経験から生まれる余裕を大切にしながらも、向上心は持ち続けたいと思っています。
ーー様々な仕事に挑戦しながらも、声優という職業への探求心を感じます。写真集の巻末に収録されているロングインタビューでも「お芝居への探究心は何年やっても尽きることがなくて」と話していますが、10代から声優という職業に興味を保ち続けられるのはなぜでしょうか?
伊藤:私の場合、常に挑戦し続けられる環境にいられること、そのステージがあることが大きいと思います。例えば去年は初めて吹き替えに挑戦させていただいたんですけど、その時にアニメ現場とのアプローチの違いにカルチャーショックを受けたんです。
届かない悔しさや、自分の未熟さを感じる瞬間がまだある。失敗するのはもちろん辛い。でも失敗しなければ強くなれないとも思うので、挑戦しようと思えるんだと思います。声優として達成できていない目標もあるし、まだ見たい景色もあります。
ーーその目標のひとつを教えてください。
伊藤: プリキュアになりたい……! 実は口にするのは初めてです。ずっと憧れていたのですが、自分にとってあまりにも大きな夢だったので、なかなか言葉にできなくて。でも、さまざまな作品やキャラクターとの出会いを通して、「夢は口に出していいんだ」と思えるようになりました。いつか叶えられるよう、一歩ずつ頑張っていきたいです。
ーーデビュー作でいきなり主人公を演じたこともあり、世間的には順調なキャリアを歩んでいるように見られることも多いと思います。ご自身ではこれまでの歩みをどう捉えていますか。
伊藤:私は一般人からすぐに主役を演じるというデビューだったことに、コンプレックスのようなものがありました。お芝居を本格的に学んだ経験もなく、「表に立つ人とはどうあるべきか」ということも知らないままこの世界に飛び込んで。理想だけを抱えてスタートしたので、20代半ばくらいまでは自分というものが形成されないまま、一つ学んでは大きな失敗して、また前に進んで……ということの繰り返しだったんです。
私としてはリアリティショーのように声優・伊藤彩沙が成長していく過程を、そのままファンの皆さんに見てもらっている感覚があります。すべてをさらけ出して皆さんに成長を見守っていただいた、いわば「育成型声優」というか(笑)。面白い人生だなと思います。

■書誌情報
『伊藤彩沙 写真集 アヤサージュ』
価格:3,960円 (税込)
発売日:2026年6月24日
撮影:中村和孝
出版社:KADOKAWA
商品ページ:https://www.kadokawa.co.jp/product/322603000459/
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