『ONE PIECE』ルフィはなぜ人気者に……? 『HUNTER×HUNTER』ゴン、『NARUTO』ナルト、『ヒロアカ 』デクとの違いから考察

『ONE PIECE』ルフィはなぜ人気者に……?

 しかし『ONE PIECE』の世界に「天才キャラ」は存在しない。ルフィの敵はもちろん仲間にも化け物じみた強さのキャラクターは多数出てくるも、その強さは悪魔の実の能力や血の滲む努力で手に入れたものだ。「天才キャラ」はどうしても、主人公を実力的に1段階上から見た立ち位置になる。しかし『ONE PIECE』ではそれがいないからこそ、ルフィが常に味方サイドでの強さの頂点に君臨している。

 少年漫画では主人公の成長を軸に描くため、彼らを組織のトップに置く作品作りは実は珍しい。そのため主人公も強敵と戦いながら、敵のボスとは別のキャラクターが死闘を繰り広げるというストーリーも多く描かれてきた。

 しかし『ONE PIECE』ではそれが無い。仲間のピンチや強敵が立ち塞がった際、ボスとなる強大な敵を退けるのは決まって一味のボスであるルフィの役目だった。船長としてクルーを率い、強敵を自ら打ち負かすことで“頼り甲斐”はもちろん自分が1番強いと誇示し続けたルフィ。天才がいない世界で「船長という役職」まっとうし続ける強さが人気投票に与えた影響は計り知れないだろう。

 様々なメディアで取り上げられ、大盛況の中幕を閉じた「第1回 ONE PIECEキャラクター世界人気投票」。結果が発表され、ルフィの1位獲得にどこか安堵しているファンも多いように思う。彼には他作品の主人公たちとは一風変わった、トップを走る主人公としての魅力が詰まっている。仲間だけでなく読者からも多大な支持を得る船長の冒険を、引き続き見守っていきたい。

■青木圭介
エンタメ系フリーライター兼編集者。漫画・アニメジャンルのコラムや書評を中心に執筆しており、主にwebメディアで活動している。

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