『ONE PIECE』エースはなぜ生き急いだのか? ルーキー時代の軌跡から見えるもの

『ONE PIECE』エースはなぜ生き急いだのか? ルーキー時代の軌跡から見えるもの

 「ONE PIECE magazine」 (集英社ムック)にて連載中の、ルフィの(義)兄であるポートガス・D・エースを主人公としたスピンオフ作品『ONE PIECE episode A』。最新話である第2話では、『ONE PIECE』本編にてお馴染みのレジェンドたちが次々と登場する。本編では深く語られることのなかったエースの人生が、いかに生き急いだものだったのか、その一端を垣間見ることができるものとなっているはずだ。

※以下、ネタバレあり

 『ONE PIECE episode A』とは、「ONE PIECE magazine」の“Vol.1”〜“Vol.3”にて連載された小説をコミカライズした公式スピンオフ作品だ。『三ツ首コンドル』などの石山諒がネーム構成を、『Dr.STONE』のBoichiが作画をそれぞれ担当している。そんな本作で描かれるのは、かつてエースが率いていたスペード海賊団の奮闘記と、船長であるエースの生き様だ。同海賊団の最初のクルーであるマスクド・デュースの視点によって、これらのエピソードは語られている。

 前回の第1話では、エースとマスクド・デュースの出会い、スペード海賊団の結成、そして船出までが描かれた。ここで分かったのが、エースがメラメラの実の能力者となった経緯だ。特殊な海流に囲まれた無人島に漂着し、出会ったふたり。食べ物も飲み物も得られない状況下で、両者とも飢餓状態に陥っていた。そんなおりに怪鳥が現れ、これをエースが撃退した際に手に入れた果物がメラメラの実だ。この“未知の果実”を食する場面だけでも、彼らふたりがそれぞれにどのような性格の持ち主であり、どのような関係であるのかが克明に描かれていたように思う。仁義を重んじるエース以上に、マスクド・デュースの生真面目さによって、エースは悪魔の実の能力者となったのだ。これは互いに大きな信頼関係が芽生えた場面でもあった。腕っぷしに自信のあるエースと、豊かな知識を持つマスクド・デュース。これからの航海に期待の高まる、痛快な幕切れの第1話であっただろう。

 第1話がさまざまな“誕生秘話”を描いていたのに対し、第2話はとんでもないスピード感で、エースたちが海賊として高みへ登っていく“ルーキー時代”が描かれている。本稿での詳述は避けるが、彼らは早くも新世界入り。しかも、シャンクス、ジンベエ、そして白ヒゲとの出会いが怒涛の勢いで展開する。本編でのルフィ率いる麦わらの一味の動向に比すると、あまりに省略しすぎではないかと思えるほどだ。物語の飛躍ぶりには驚きの連続である。

 もちろん、“紙幅が限られている”という事情はあるだろう。これは『ONE PIECE』本編ではない。いくらエースが重要な人物だとはいえ、彼をメインとした物語を長期連載するわけにはいかないはず。しかしこのスピード感や物語の飛躍ぶりには、必然性が感じられてならない。この一連の展開が示しているのは、エースがあまりに生き急いだ存在だったのではないかということである。

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