『SLAM DUNK』海南はなぜ全国2位の成績を残せた? 陵南戦から読み解く、海南スタメンの強さ
事実、この試合でも完全に陵南に傾いていた流れを変えたのは清田のダンクシュートだった。流れが変わったと見るや、2人の3ポインターが一気に怒涛のゴールラッシュを展開する。陵南も魚住の退場で劣勢を強いられついに海南に逆転を許すも、仙道が終了直前にビッグプレー。しかしそのギリギリの状況でも牧は冷静に対処し、陵南のラストチャンスを潰すことに成功。結果は延長戦で海南が陵南を下し、インターハイ出場をほぼ決定した。
その後インターハイでの海南の試合がはっきりと描かれることはなかったが、結果ファイナルに駒を進めたその戦いぶりは、おそらく陵南戦同様、たとえ自分たちが一時的にビハインドを強いられても、最強の3ポインター2枚を軸に、試合をひっくり返して勝ち上がっていったことだろう。
しかしもし、海南が山王と戦っていたら、いったいどんな試合になっていたのだろう? 河田兄と高砂のマッチアップ、沢北には誰がつく? 神を一之倉は完封できるのか? 牧は深津を制することができるのか? 連載終了から20数年、多くの読者が想像を巡らせに巡らせたドリームマッチ。いまもう一度想像の世界で楽しむのもいいかもしれない。
■関口裕一(せきぐち ゆういち)
スポーツライター。スポーツ・ライフスタイル・ウェブマガジン『MELOS(メロス)』などを中心に、芸能、ゲーム、モノ関係の媒体で執筆。他に2.5次元舞台のビジュアル撮影のディレクションも担当。
■書籍情報
『SLAM DUNK 完全版(10)』
井上雄彦 著
価格:本体933円+税
出版社:集英社
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