与沢翼が語る、コロナ時代の『お金の真理』 「現在の決断が今後10年を左右する」
歳を重ねるごとに幸福度を上げていく
――本書ではギャンブルはもちろん、ローンで家やマンションを購入することや人脈作りについても否定的な意見を述べています。与沢さんが「やってはいけない」と考えることの基準は?与沢:30年前の本を読んでも、50年前の本を読んでも、100年前の本を読んでも、「現代は変化が早い」と書かれていて、つまりいつの時代でも変化は早く、未来の予測は極めて困難なんですね。そんな中でも特にインターネットが登場して、格安航空などで各国間の移動もスムーズになった昨今の変化の速度は異常なくらいで、自分の軸を持たないと簡単に流されてしまうほどです。そうした状況の中で、未来の自分を拘束するような約束をするのは良くないと考えています。例えば、家を購入すること自体は悪くないんですけれど、30年のローンを組まないと買えないのであれば今はやめておいたほうが良い。今回のコロナ禍で明らかなように、10年後に同じような日常が続いている保証はどこにもないし、自分が何をどうしているのかだって予想することはできません。未来はそれほど不確実なのに、人間は一時の欲や感情で行動するもので、特に経済活動においては多くの人が過ちを冒し続けます。テレビショッピングで1年の分割で購入した商品も、1カ月経ったらもう使わない、なんてことはざらにあるはずです。これは人生観にも通じる話だと思うのですが、いまが楽しければそれで良いと思うか、それともこの先10年、20年と歳を重ねるごとに幸福度を上げていくのが良いと思うか、どちらを選択するかだと考えています。
ーー歳を重ねるごとに幸福になっていくとの人生観はとても健全だと思います。
与沢:少なくとも私の場合は、若いうちに苦労して、少しずつ幸福になっていこうと考えています。昨今は、歳を重ねることが悪いことだとでも言うような風潮があって、女性は年齢を重ねると市場価値が下がるとか、さもしい人生観も見受けられます。でも、いまは高齢でも恋愛や趣味を楽しんでいる人は世界中にたくさんいますし、その年代ごとに素敵なことはあると思うんです。そういう価値観が、私の根底にあります。
――いわゆる“港区女子”についても、与沢さんは苦言を呈していました。
与沢:港区女子は基本的に自分自身の若さや美貌を商品として捉えて売るような生き方をしていて、そのこと自体は個人の自由ですけれど、持続性や発展性は低い商売ですよね。「一緒に旅行に行ったら、お手当いくらもらえますか?」という商売の仕方なので、金持ちの社長からしたら、この子は何歳でこの金額でここまでしてくれるけれど、あの子は何歳でもっと安くて可愛いから乗り換えようとか考えるわけで、港区女子は常に新規参入者と競合の脅威に晒されている。言ってみれば、わざわざレッドオーシャンで、しかも商品価値がどんどん下がり、時間的にも量的にも身体的にもレバレッジの効いていないたった一つの経営資源をもって商売をしているようなわけで、末路は目に見えています。人生は中長期的にゆるやかに発展、拡大、向上を目指していく方が結果的には大きくうまくいくもので、目先の利益に惑わされていては駄目です。先ほどの話とも繋がりますが、若さや美貌ではなく、年齢を重ねるごとに価値を増していくような部分を自分の武器にしていくべきで、男性の側もそういう考え方の人をパートナーとして探したほうが良いと思います。お金と時間の無駄ですから。
――本書では今後、リスクと共存していく生き方を模索していくべきだとも述べていました。最後に改めて、今回のコロナ禍をどう捉えたのかを教えてください。
与沢:コロナ禍について、実は私自身は楽観的に見ているところもあります。コロナはいずれ収束するし、人間の欲望は簡単に消えるものではないので、経済も必ず再開します。私はすでに、ウィズコロナの時代にどう動くかを想定して、色々と準備を進めていました。もう、これから先のことしか見ていません。今回、私を含めた世界中の人々が「パンデミックは起こりうる」ということを知ることができたのは、大きな学びにもなったと思います。子供がはしかにかかるのと同じで、ある意味では現代人にとっての通過儀礼になったというか。これから先、また違うウイルスが発生するかもしれないし、日本であれば首都直下地震とかが起こるかもしれないわけで、社会全体で“備えて生きる”ということを意識する契機にはなったはずです。リスクをゼロにすることはできません。だから、いかにしてリスクと共存していくかを考えるのが大切で、そのために必要なのは、断捨離して足るを知ること、借金はしないでしっかり貯蓄を増やしながら純利益を出し続けること、甘言に惑わされず熟考して決断することです。繰り返しになりますが、現在の決断が今後10年を左右するはずなので、1日1日を大切に真剣に悩みながら過ごしてほしいです。
■書籍情報
『お金の真理』
与沢翼 著
発売:4月23日
価格:1,300+税
出版社:宝島社