犬山紙子が語る、コロナ時代における夫婦円満の秘訣「弱音や愚痴を吐く練習をやっておくと、支え合える夫婦になる」

犬山紙子が語る、夫婦円満の秘訣

 新型コロナウイルスの感染拡大が長引き、緊急事態宣言は解除されたものの、依然として外出自粛や在宅ワークを続けている方は多いだろう。家にこもる生活でストレスが溜まった結果、顔を合わせる時間が増えた夫婦の関係が悪化し、「コロナ離婚」なる言葉も生まれている。コロナウイルスは人々の健康や経済活動だけではなく、夫婦仲にも大きな影響をもたらした。ウィズコロナ/アフターコロナの世界で夫婦円満に過ごすためには、どんな意識の変化が必要なのか。

 3月26日にコラムニスト/TVコメンテーターの犬山紙子が新刊『すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある 』(扶桑社)を発売。『週刊SPA!』(扶桑社)での連載「他人円満」であらゆる問題を乗り越えた夫婦を取材し、そこで得た教訓をまとめたものだ。犬山氏に、コロナ時代における夫婦問題解決のヒントを聞いた。(石井かすみ)

知識の格差が価値観の違いにつながる

——本書のテーマは、育児・家事、夫婦げんか、不妊治療、セックスレス、不倫などあらゆる夫婦問題の対処法が書かれていました。私も結婚して1年半なので興味深く読みました。読者からの反響はいかがですか?

犬山:発売が3月末の外出自粛が始まったころだったので、夫婦で顔を合わせる機会が増えたからこの本をいい夫婦生活のきっかけにしたいという声を多くいただきました。また、夫婦がテーマでしたが「すべての人間関係に使える」と言ってくれる方もいて、うれしいです。

——「知識の格差が価値観の違いにつながる」という言葉が印象的でした。夫婦関係において価値観の違いは致命的ですよね。これを避けるためには、知識の格差を生まないことが大切なんだと感じました。この本もぜひパートナーに読んでもらいたいと思ったのですが、押し付けにならないように慎重に提案したいです。どんな方法で読んでもらうのがいいでしょうか?

犬山:まるっと1冊渡すのはハードルが高いので、例えば、トピックスごとにまとめているので、ピンときたものをスクショしてLINEで送るのはどうですか? 反応が良かったら、こんなのもあるよと広げていくのはどうでしょうか。

——画像にして送ると気軽に読んでもらえそうでいいですね。

犬山:もし私たち夫婦(※1)をご存知だったら「あの二人もいろいろ問題抱えているみたいよ」と使ってもらってもいいので。取材した中で有名なご夫婦だと、(※2)宮崎さんと金子さん夫婦をフックにしてみるのもアリですね。

※1 犬山さんの夫は「あらかじめ決められた恋人たちへ」のベーシストでマンガ家の劔樹人さん

※2 国会議員の育児休暇と浮気で騒がれた宮崎謙介さんと金子恵美さん夫婦

——宮崎さん金子さん夫婦のインタビューはとても面白かったです。浮気でゴタゴタしているイメージがあったのですが、実はもともとの信頼関係が厚くて戦友のような関係で、本人たちは浮気のことはさほど気にしていなかった。やはり本人に聞いてみないと夫婦関係の実態はわからないですね。

犬山:浮気をされた側の自尊心がどこまで傷つけられたかって、本人にしかわからないものです。あのお二人は、世間から強烈なバッシングを受けて、夫婦が団結したのが大きかったのかな。今は我々にもコロナという戦うべき相手がいる。お互い敵同士ではなく、夫婦は味方同士だってことが確認できる機会とも言えますよね。

——本の中で、夫婦関係に亀裂を生まないためには「お互いの支援者になる」ことを誓い合うことから始めるべき、とありました。ですが実際に夫と話していて、意見が対立してしまうとなかなか難しいです。

犬山:その話し合い方は細かく本に書いてあるので是非。例えば、話し合いの先の目的を考えて、通りやすい伝え方はどうか、だったり。大きい問題があったときに、夫婦が支援者同士であるのか、対立しているのかで、問題の乗り越え方も違ってくるんですよね。結婚ってただの制度ではあるのですが、この人と長いこと一緒にいたいと思ったから結婚する。外で理不尽な目にあったりひどいことがあっても、自分の支援者が一人でもいてその人に話を聞いてもらえる。自分の大切な人がそう言っているなら大丈夫だって思える。一緒にいたい理由ってこういうことだと思います。不満とか愚痴は絶対あると思うんですよ。それは押し込めないで、お互い冷静に、問題を乗り越えるための問題定義っていうやり方でやっていけると、同じ苛立ちでも解決の仕方が変わってくると思います。

愛する仕事ができないのが想像以上にきつい、夫のつらさ

——私は最近、夫とコロナのことや政府の対応などシリアスな話題が多いです。犬山さんご夫婦はこの時期、どんなトピックを話していますか?

犬山:我が家でも、さっきも安倍さんの会見を見たり、給付金のあり方とかを話しています。うちの夫の場合はバンドマンなので、コロナの影響が直撃しているんですよね。彼や彼の周りの人の仕事がなくなってしまった話などもよくします。

 夫は自分の愛するベースの仕事がなくなっていて、その苦しみを妻としてもひしひしと感じています。自分のしたい仕事ができないというのは、やはりきついみたいで。夫が溜め込みすぎないようにヒアリングをしています。

 私自身もコロナで困っている人たちにアンケートを取って、経産省の副大臣に届けに行ったりしたんですが、そのことも夫と話し合っていますね。

——まさに支援者の関係ですね。お子さんにはどんな風に説明していますか?

犬山:うちの娘は3歳なんですが、「お外に出かけたい」「おばあちゃんに会いたい」って言い出したんですよね。その言葉に私も泣きそうになったんですけど、まずは寄り添って「そうだね、わかるよ」と声をかけました。そのあとに理由の説明です。本当はウイルスと細菌は全然違うものなんですけど、娘でもわかるバイキンという言葉を使いました。「お外はバイキンがたくさんいるんだよね。バイキンがお口とかお目目に入ると、病気になってしまうかもしれないんだ」と。これだけだと不安にさせてしまうので、「今たくさんの大人たちがお薬作るためにがんばっているよ。お薬ができるまで、お母さんとお父さんと家で楽しく過ごそう!」と説明しました。その子どもがどれぐらい理解できるのかに合わせて説明することが大切なので、月齢にもよって違ってきますが。

——なるほど、最後に希望があることを説明するのが大切なんですね。

犬山:月齢に合わせて褒めたりしつけたりしようという子育て法の「ポジティブディシュプリン」を習いに行ったんです。その手法も取り入れました。私は児童虐待をなくすための活動をしているんですね。今年の4月1日から体罰禁止法(親による体罰禁止を盛り込んだ改正児童福祉法と改正児童福祉法)が施行されましたが、私たち正しい知識をつけることも児童虐待防止につながる行動だと思っています。

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