『呪術廻戦』の隠れた魅力は“バトル漫画への批評性” 『幽遊白書』仙水編をどう更新する?

『呪術廻戦』の隠れた魅力は“バトル漫画への批評性” 『幽遊白書』仙水編をどう更新する?

 芥見下々の『呪術廻戦』は『週刊少年ジャンプ』で連載されている「呪い」を題材にしたオカルトバトル漫画だ。

 心霊現象(オカルト)研究会に所属する虎杖悠仁は、封印されていた特級呪物「両面宿儺の指」を偶然拾う。先輩が封印を解いてしまったことで、宿儺に引き寄せられた呪霊(呪い)に襲われる悠仁は、呪術士の伏黒恵と共に戦うことに。

 絶体絶命の中、悠仁は「宿儺の指」を呑み込み、その呪力で呪霊を退ける。しかし、それと引き換えに史上最悪の特級呪霊・両面宿儺が悠仁の中で覚醒してしまう。

 物語は宿儺を封印するために戦う悠仁が呪術師の学校(呪術高専)に転入し、同級生の伏黒恵、釘崎野薔薇、教師の五条悟たちと共に、呪霊と戦う中で成長していく姿を描く。

 『BLEACH』、『NARUTO -ナルト-』、『HUNTER×HUNTER』、『幽遊白書』(以下、『幽白』)、『るろうに剣心』といった過去のジャンプ漫画の影響が強く伺える物語と設定は、ジャンプが産み出した必勝メソッドがふんだんに盛り込まれた、隙のない構成である。しかし、あざとさをあまり感じないのは、作者が、過去のジャンプ漫画が何を描いてきたのかという主題を皮膚感覚で理解し血肉化しているからだろう。それは練り込まれた呪術の設定に強く現れている。

 元々、本作は増刊『ジャンプGIGA』で連載されていた『東京都立呪術高等専門学校』(現在は『呪術廻戦0巻 東京都立呪術高等専門学校』として刊行)の世界観を引き継ぐ形でスタートした。この前日譚の時点で五条悟や、悠仁たちの先輩にあたる禪院真希、狗巻棘、パンダといったキャラクターは登場しており、作品の世界観はすでに完成されていた。

 呪術と呪いをめぐる世界観がしっかり作られているため、最初は難しくてとっつきにくく見えても、法則性が頭の中に入ってくると、どんどん面白くなる。

 中でも大きな見せ場となるのが「領域展開」。これは「術式を付与した生得領域を呪力で周囲に構築する」という大技で「閉鎖空間に呪術師の世界を作り上げる」一種の結界だ。領域展開をすると呪術師のステータスが上昇し「領域内で発動した術式は絶対に当たる」のだが、見開きで「領域展開」が描かれ背景が異世界に変わると、『聖闘士星矢』等の昔のジャンプ漫画で描かれていた必殺技を見た時の興奮を感じる。

 RPGにおける魔法を、より細かく設定しているだけと言えばそれまでなのだが、よくある設定を、徹底的に作り込むことで過去のバトル漫画に対する批評性が生まれていることが、本作の隠れた魅力である。

 こういった少年漫画(あるいはジャンプ漫画)の理論化は冨樫義博が『幽白』から『HUNTER×HUNTER』にかけて追求してきたテーマだが、現代を舞台にしたオカルトバトルという枠組みの中でバトル漫画を批評的に抉っていく作風は『幽白』を彷彿とさせる。

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