『ブルーモーメント』が描く対自然災害の脅威 山下智久がSDMの“存在理由”に向き合う

『ブルーモーメント』が描く対自然災害の脅威

 いつの間にかぽかぽかと暖かい春から、じめじめとした梅雨になり、気がつけばあと2話となった『ブルーモーメント』。今まで吹雪による遭難や竜巻、ひょうなどの異常気象を事前に予測し、災害による混乱を未然に防いできたSDM(特別災害対策本部)だが、第8話では最大の壁にぶつかった。

 晴原柑九朗(山下智久)を土砂から守ったことで命を落としてしまった上野香澄(平岩紙)。犠牲者が出たことで、SDMは運用停止になる……。

 そして半年もの月日が過ぎ、晴原の助手として役に立とうと気象学の勉強に勤めていた雲田彩(出口夏希)は、見事気象予報士の試験に合格。ハルカン(=晴原)の代わりにテレビ番組の天気予報コーナーに出演し、日頃から天気に興味を持ってもらおうと尽力していた。

 一方、園部灯(本田翼)の死の真相を知り、上司として慕っていた上野まで失った晴原は、取りつかれたように研究に没頭。汐見早霧(夏帆)や園部優吾(水上恒司)はそんな晴原を心配しつつも発破を掛け、雲田もソフトボールみたいなおにぎりを毎日晴原のために握ってくる。しかし、今までやってきたことが正しかったのか確信を持てない彼は立ち止まっていた。そんな中、雲田が埼玉での熱雷を予測。テレビ局にその事実を報道するようにかけ合うが確実性がないと難しいと言われてしまう。

 一方その頃、上野の息子・海斗(石塚陸翔)が母親の死を納得しようとしている姿を見た晴原は、苦しさの中でもSDMの仲間を頼ることを決め、目を覚ましたようにSDMが存在すべき理由と“命の重さ”を思い出す。「誰かが諦めそうになっても、他の誰かが諦めない」「目の前の命を救うことだけを考える」、それが再び体現された瞬間だった。

 物語が結末に向かうに連れ、SDMメンバーたちの絆も強固なものになっていた。晴原と雲田の関係性を思い返せば、最初は「名前に『雲』が入っている」くらいだったけれど、雲田のガッツと晴原の天気に対する執念が数々の化学反応を巻き起こした。晴原が心を閉ざし、気象予測を避けていることに気づいた時も「避けてませんか」と向き合って、「先生のせいじゃありません」と晴原を立ち直らせようと尽くす。また、「天気予報は何のためにありますか?」と聞かれた晴原は「SDMは必要」と改めて自覚する。そしてスイッチが入ったように、今までよりも強くなったような顔つきで、予測される熱雷に立ち向かう。

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