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横浜流星自身の可能性とも重なる由利の成長 『はじこい』は幸せに向かう喜びを教えてくれる

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「苦痛と不幸は違うだろ? ベンサムってやつ、間違ってんじゃね?」

 まだ本気の恋を知らないアラサー塾講師の春見順子(深田恭子)と、ピンク髪の不良高校生・由利匡平(横浜流星)の初々しい恋に思わずキュンとするラブコメドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)。ストーリーは、毎回ふたりの受験勉強の内容にからめて進んでいく。第4話のキーワードとなるのは、イギリスの功利主義者ベンサムの言葉「最大多数の最大幸福」「快楽と苦痛を計算して幸せを測れる」。私たちが何をすべきかを決定するのは、幸せの最大化のため。では、その幸せとは何か。匡平の担任教師・山下一真(中村倫也)の言葉を借りるならば、「幸せとは、幸せなときには考えないもの」だ。

 このドラマの登場人物は、みんな「幸せ」とは何かに悩んでいる。順子は自らを「しくじり塾講師」と言うように、東大に落ちたことをきっかけに母親との距離に悩み、恋も仕事も本気にのめり込めない日々を過ごしてきた。順子のいとこ・八雲雅志(永山絢斗)も東大卒エリート商社マンというハイスペック人材だが、約20年も順子の片想い中で、決死のバックハグ告白も見事に玉砕。順子には本気にしてもらえず、さらには匡平に目撃されてしまう恥ずかしい展開に。

 また、高級官僚を父に持ち、裕福な家庭環境に恵まれた匡平も、中学のときに母親を亡くして孤独を抱え、山下は元ヤンキーから教師の道に進み、女性からもモテるが、何やら離婚の危機にあるようだ。傍から見ればそれぞれが恵まれているのだが。当の本人はそれに気づけていない。多くの快楽よりも、少しの苦痛に目の前がいっぱいになってしまうのは、現実社会でもよくあることだ。それゆえに、人生はドラマチックになっていく。

 今の順子の幸せは、匡平を東大に合格させるという夢に向かって走ること。合格した喜びを誰よりも近くで分かち合いたいというもの。もちろん匡平にとってもそれは共通の幸せだ。だが、順子への恋心を全面に出すには、17歳という年齢が法の壁となって立ちはだかる。そばにいることは嬉しいことなのに、一緒にいる時間が長いほど、その想いを告げられない苦痛が増えていく。同い年で、問題なく告白できる雅志のことが「死ぬほど羨ましい」と、こぼすほどに。

 一方で、雅志は順子が幸せになることを、自分の幸せのように願ってきた。だが、匡平が順子の幸せの源となっているのは苦痛を伴う。好きな人の幸せを願うほどに、痛感する自分の無力さ。それは順子の中にも、東大に落ちた自分の指導方法で、匡平を東大に合格させることができるのかという焦りとして芽生えつつあった。四六時中、匡平のことを考えてしまう理由を「母性だ」というが、山下は相談にのりながら「本当にそうか?」と甚だ疑問の表情だ。そんな恋の悩みを聞きながら、少しずつ順子への恋心を再燃させていく山下もまた、順子と一緒に時間を過ごすことは楽しいが、それゆえに想いが届かない苦痛が生まれてくる。

      

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