仲里依紗が“カリスマギャル”歩を演じた必然 デビューから朝ドラ『おむすび』までの軌跡

仲里依紗が“カリスマギャル”歩を演じた必然

 ついにNHK連続テレビ小説『おむすび』が最終週に突入する。平成元年生まれの結(橋本環奈)がギャルマインドを持った栄養士となり、人の心と未来を結んでいく姿を描いた本作。振り返ってみれば、この物語は結を含めた全員が主人公であり、いきいきと人生を送るキャラクターたちの姿を通して、年齢や性別に関係なく、心の栄養=好きなことを貫くことの大切さを教えてくれた作品だった。

 とりわけ、そのメッセージ性を強めていたのが、結の姉・歩(仲里依紗)の存在だろう。福岡で伝説のギャルとして知られていた歩。けれど、自ら進んでギャルになりたかったわけではない。阪神・淡路大震災で亡くなった親友の真紀(大島美優)が憧れていたギャルになり、真紀が生きるはずだった人生を歩むことで壊れそうな心を支えていたのだ。

 そんな自分を“ニセモノ”と呼び、卑下していた歩だが、真紀として生きていた人生はいつしか歩自身の人生になっていた。仲間が呼んだらすぐ駆けつける、他人の目は気にしない、自分が好きなことは貫け、ダサいことは死んでもするな……。そうした真紀の口癖を実践しているうちに、いつしかカリスマギャルとして崇められる存在になっていた。でも、彼女がみんなから慕われている理由はきっとそれだけじゃない。父・聖人(北村有起哉)に反対されても己の信念を曲げなかった強さや、困っている人を放っておけない優しさ、もともと持っていたファッションセンスなど、歩自身の魅力が周囲を引きつけたのだ。

 そのことに気づいてからは以前より性格も明るくなり、自分の人生を形作ってくれたギャルマインドの波及に努めてきた歩。当初から「歩を主人公にしたドラマも観たい!」という声が視聴者から挙がっていたが、第16週・第17週は歩が実質的な主人公となって活躍した。それほどまでに歩というキャラクターが愛されたのは、やはり演じた仲里依紗の力に依るところが大きい。

 そもそも歩は“当て書き”かと思うほどに仲本人と重なる役柄だ。歩は結よりも8歳年上の設定だが、仲は結と同じく平成元年生まれ。つまり平成ギャルブームの中で青春時代を送っており、以前から公言しているように浜崎あゆみの大ファンだった仲もギャルに憧れていたという。また歩は古着のバイヤーとして活躍した後、ファッションブランド「KING OF GAL(キングオブギャル)」を立ち上げるが、仲も両親が地元の長崎でアメカジショップを経営していたこともあり、子供の頃からファッションに興味があったそうだ(※)。

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