横浜流星自身の可能性とも重なる由利の成長 『はじこい』は幸せに向かう喜びを教えてくれる
その苦痛を正面から「不幸ではない」と受け入れた匡平。法律が、そして社会が、この恋心をゆるす18歳になるその日まで、順子のために告げまいと我慢する。順子の幸せが、今自分の想いをぶつけることではなく、まずは共通の快楽である東大合格だと心から理解したからだ。
「来年の2月3日、覚えといて。18になるから」
受験という苦痛も、想いを封じ込める苦痛も、一気に開放される日を思えば乗り越えられる。自分だけの快楽に走らず、順子とその周囲の幸福を願うことができるようになった匡平の成長。若さゆえの暴走ではなく、若いからこそ未来を信じることができる強さ。順子と同じように、見ているこちらも彼のポテンシャルの高さにワクワクしてくる。それは、匡平を演じる横浜流星という俳優の可能性の大きさに通じるものがあるかもしれない。
人生のパイセンである大人たちが必死に経験した学びを吸収して、若者がぐんぐんと成長していく喜び。そして、その姿に刺激を受けて、また大人たちが頑張ろうと前を向く充実感。このドラマがそんなエネルギーに満ちているのは、それぞれが自分の苦痛を受け入れながら、相手の幸せを願うから。それを見届ける私たち一人ひとりもまた、幸せを感じることができる。健気に恋する彼らにとって最大多数の最大幸福な展開になることを期待している。
(文=佐藤結衣)
■放送情報
火曜ドラマ『初めて恋をした日に読む話』
TBS系にて、毎週火曜22:00~
出演:深田恭子、永山絢斗、横浜流星、中村倫也、安達祐実、石丸謙二郎、鶴見辰吾、生瀬勝久、檀ふみ、高橋洋、皆川猿時
原作:『初めて恋をした日に読む話』持田あき(集英社『クッキー』連載)
脚本:吉澤智子
プロデューサー:有賀聡(ケイファクトリー)
演出:福田亮介ほか
製作:ケイファクトリー、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/hajikoi_tbs/