“殺し屋マンガ”が続々登場、今注目の作品は? オカモトショウ推薦『アマチュアビジランテ』『INNU -イッヌ-』

オカモトショウ、最新の殺し屋マンガを語る

『INNU -イッヌ-』は“ハードボイルドな天才バカボン”

『INNU -イッヌ-』(原作:大沼隆揮・作画:小丸ひかり/講談社)

——もう一つのおすすめマンガは『INNU -イッヌ-』。任侠の娘で女子高生のサリーちゃんと、“人間の言葉がしゃべれて、圧倒的に強い”パグ犬の“イッヌ”を軸にした作品ですが、これはどちらかというとギャグマンガなのでしょうか?

 ふざけていますよね、いい意味で(笑)。『アマチュアビジランテ』はある程度リアリティがあるんだけど、『INNU -イッヌ-』は“しゃべる犬”が主人公なので、リアリティはまったくありません(笑)。ただね、イッヌはめっちゃハードボイルドなんですよ。セリフもいちいち渋いし、肌の色もトレンチコートみたいで(笑)。

——確かに! 力の強い殺し屋が10代の女の子を守るという構造もいいですね。

 守りたいのは常にサリーちゃんですからね。ただ、敵がどんどんデカくなるんですよ。最初はヤクザだったんですけど、そのうちいろんな国の権力とか、めちゃくちゃデカい敵が出てきて。今高校の文化祭を無事に開催するために、台風にぶつかっていって消したりしてるんで(笑)。

——かなり荒唐無稽ですね……(笑)。

 (笑)「INNU -イッヌ-」の面白さは、いろんなマンガのパロディが入ってるんですよ。「なんでこの犬、喋れて強いんだろう?」というのが最大の謎なんだけど、最近になって『ONE PIECE』のポーネグリフみたいな石碑が見つかって。そこに「小さい“ッ”を継ぐもの」みたいことが書かれてるんだけど、まるで『ONE PIECE』の“Dの意思”のじゃないですか(笑)。しかもその後、“ネッコ”とか“ウッマ”“ウッサ”みたいな動物も出てきて。これでどこまでいけるのかな?って、ちょっと不安になりそうです(笑)。

 他にも『HUNTER×HUNTER』や『ドラゴンボール』のパロディも入ってて。そもそも“イッヌ”もかつてのネットスラングなんで。そこまでギャグに振り切ってるわけではなくて、シュールな感じがあるのも好きですね。個人的にはこのナンセンス感は“ハードボイルドな天才バカボン”なのかなと。とにかく何も考えないで楽しく読めるのがいいですね。

——それも大事な要素ですよね。

 いわゆる“いいマンガ”が厳選されてどんどん世に出てるけど、いろいろ考えながら読まないといけない作品も多くて。そんななか、いい意味で何も考えず楽しめる『INNU -イッヌ-』は貴重だと思います。しかもスキャンダラスなだけ、刺激が強いだけのマンガでは全然なくて。昔ながらのマンガらしさもあるし、ふざけるのもセンスが必要じゃないですか。

——マンガの知見があって、ふざけるセンスがある方々が作っているマンガだと。

 そうだと思います。『アマチュアビジランテ』もそうですけど、さすがにヤンマガ本誌で連載してるだけはあるなと。どっちがいいという話じゃないですけど、本誌連載のパワーってあると思うので。ただ『殺し屋1』とかが好きな方が『INNU -イッヌ-』を読んでどう思うかはわからないけど(笑)。

『アマチュアビジランテ』『INNU -イッヌ-』を読みながら聴きたい曲

Tzusing『東方不敗』  台湾や中国を中心に活動しているマレーシア出身のアーティスト・Tzusingのデビューアルバム。「ピリッとした緊張感があるサウンドなんですけど、抜け感があるエレクトロとしても楽しめて。『アマチュアビジランテ』の雰囲気にも『イッヌ』の奇妙なナンセンスさにも合うと思います」

「OKAMOTO'S TOUR 2025-2026 4EVER NOW」開催決定!!

 OKAMOTO'Sが2025年9月より全20公演の「OKAMOTO'S TOUR 2025-2026 4EVER NOW」の開催が決定! 47都道府県ツアー、そして野音を経てさらにパワーアップしたOKAMOTO’Sのライブをお見逃しなく。

 チケットはOKAMOTO’Sの公式アプリ「オカモトークQ」プレミアム会員限定にて、最速先行受付が6月25日(水)23:59まで行われている。

ツアー詳細:https://www.okamotos.net/info/archive/?id=574714
アプリ詳細:https://c-rayon.com/okamotos/app/index.html

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「連載」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる