OKAMOTO’Sオカモトショウ連載『月刊オカモトショウ』
“殺し屋マンガ”が続々登場、今注目の作品は? オカモトショウ推薦『アマチュアビジランテ』『INNU -イッヌ-』

ロックバンドOKAMOTO’Sのボーカル、そして、ソロアーティストとしても活躍するオカモトショウが、名作マンガや注目作品をご紹介する「月刊オカモトショウ」。
今回のテーマは“殺し屋マンガ”。「週刊ヤングマガジン」で連載中の『アマチュアビジランテ』(原作:浅村壮平、作画:内藤光太郎)、『INNU -イッヌ-』(原作:大沼隆揮、作画:小丸ひかり)の2作をピックアップします。
『タクシードライバー』と構図は同じ? 『アマチュアビジランテ』

——今回のテーマは“殺し屋マンガ”です。
「最近、殺し屋マンガが増えてきてない?」という印象があるんですよね、個人的に。“殺し屋 マンガ”で検索すると、『あずみ』からはじまって『殺し屋1』『ザ・ファブル』『SAKAMOTO DAYS』とかいろいろ出てくるんですけど、ここ最近の作品がめっちゃ多いんですよ。
——何ででしょうね?
やっぱりダークヒーローが求められてるんじゃないですか。爽やかな好青年が主人公で、“正義を守るために戦う”みたいなマンガは共感しづらいというか。それより、本楽は“悪”とされている人が困ってる人を救ったり、もっと悪い奴をやっつけたりするほうが気持ちいいんじゃないですか。『ザ・ファブル』や『SAKAMOTO DAYS』みたいに日常系が混ざってるものも流行ってますけど、それももともとは「殺し屋の普段の生活を覗き見れる」という目新しさがあったと思うんですよ。逆張りじゃないけど、隙間を狙ったというか。最近も殺し屋という職業を舞台装置に使ったマンガが増えているので、今回はそのなかから俺が面白いと思ってる2作を紹介しようかなと。
——なるほど。まずは『アマチュアビジランテ』。主人公は低学歴で無職の39歳の男・尾城慎太郎。日本の与党の政治家を暗殺するために身体を鍛えているが……というあらすじです。
マーティン・スコセッシ監督の『タクシードライバー』が大好きなんですけど、『アマチュアビジランテ』の連載が始まったとき、「これ、『タクシードライバー』じゃん!」と思って。人生に鬱屈している引きこもり気味の主人公が、身体を鍛えて、武器を作って要人を暗殺しようとするっていう。“ひょんなことから少女と出会って、その子を守るために悪い奴らをぶっ殺そうとする”という構図も一緒なんですよ。
——確かに! そのラインでいえば、映画『レオン』にも似てるかも。
そうそう。『アマチュアビジランテ』の主人公は何も持っていない男だったんですけど、いざ殺しをやり始めたら「自分には殺しの才能がある」と気づいて。いきなり何人も殺めてしまうんですけど、そのアクションの描き方もすごくよくて、最初から引き込まれましたね。
——“アパートの隣の部屋に住んでいたシングルマザーと子供たちを守る”という動機も共感……はできないまでも、「わかる」という感じがしました。
そうですよね。その後もヤクザに狙われ続けるし、主人公が自分でやばい状況に突っ込んでいって。「困ってる人を助ける」という構図は大体同じなんですけど、「え、そいつを助けて大丈夫?」みたいな感じもあるし、善悪の境目が曖昧になっていくんですよ。従来のヒーロー像って、どうしても「こっちが悪」「こっちが正義」って勝手に決めちゃうイメージがあるじゃないですか。でも今はそうじゃなくて、「どっちが正しいかわからない」とか「でも、目の前に困ってる人がいたら手を差し伸べるべきでしょ」もあって。『アマチュアビジランテ』もそういうところがあると思います。その一方で、殺しがどんどん上手くなってて。若干「楽しんじゃってない?」という節があるんですよね。
——快楽殺人鬼になると、またマンガの雰囲気が変わってきそうですね。
まだそこまでいってないんだけど、名の知れた殺し屋と戦って、もっと強くなってるし、コツを掴んじゃってるんですよ。ただ、とは言ってもアマチュアなので、相変わらず手製の銃だし、“非常階段の下から追ってきた敵を、上からどう倒すか?”みたいなところで戦ってて。(殺し屋マンガの)『ねずみの初恋』や『キルアオ』の主人公はもっと特異な才能を持ってるんだけど、『アマチュアビジランテ』ではそうじゃなくて、あくまでも素人なんですよ。そのリアリティも楽しいですね。あと、ちょっと日常系の要素もあって。
——誰かと仲良くごはん食べたり?
まさに(笑)。ヤクザのせがれと知り合って、そいつともいろいろあるんだけど、そいつと、そいつが拾った女の子やたくさんの猫とタワマンで暮らし始めたり。暗いばっかりのマンガではないので、普段は殺し屋マンガに興味がない人も楽しめるんじゃないかなと。おすすめです。……そう言えば、『ザ・ファブル』の第3部も始まったんですよね。さっきも言いましたけど『ザ・ファブル』も殺し屋マンガが増えた理由だと思うし、こちらも注目ですね。
——『SAKAMOTO DAYS』もヒットしてますね。
メジャー感がありますからね。途中から『HUNTER×HUNTER』のテイストが入ってきて、スイッチが切り替わったというか。ジャンプ系の殺し屋マンガということでは、やっぱり『SAKAMOTO DAYS』だと思います。






















