軽キャノンはジム枠なのか?『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』ガンダムの“楽しさ”を濃縮した設定の妙

先日、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』関連の新作プラモデルの予約が開始され、瞬く間に全アイテムの予約枠が埋まってしまった。その際に発表された新作キットの中でも一際目を引いたのが、「軽キャノン」のプラモデルである。
『GQuuuuuuX Beginning』の冒頭では、連邦軍のモビルスーツが開発されていたサイド7をシャアのモビルスーツ部隊が襲撃し、ガンダムとペガサスを強奪した。これによって、連邦側の新モビルスーツの開発・量産計画には大きな狂いが生じる。そんなトラブルを受けて開発されたのが、「軽キャノン」である。
軽キャノンの見た目は、なかなか独特だ。胴体の形状はほとんど『GQuuuuuuX』版ガンキャノンだが、手脚の形状は『GQuuuuuuX』版ガンダムとほぼ同じになっており、「ちょっとスレンダーになったガンキャノン」といった趣である。さらに両肩に装備されていたビーム・キャノン砲は右肩のみに減らされており、左肩にはビームサーベルを搭載。どこかで見たようなモビルスーツだけど、よく見ると今までのどの機体にも似ていないという絶妙なラインに収まっている
『GQuuuuuuX』のパンフレットによれば、軽キャノンの正式な機体名称は「RGM-79 軽キャノン」。英語表記は「LIGHT-TYPE GUNCANNON」である。「コア・ブロック・システム採用機として継続開発された」「ガンダムの開発データを用いた白兵戦能力と、ガンキャノンの砲撃戦能力を組み合わせた構成」「生産性の向上を目指してか、ルナ・チタニウム合金製」とも書かれている。
なかなか興味深い設定だ。俗称や英語表記からすると、あくまでこの機体は「軽量型のガンキャノン」であり、赤い塗装や胴体部分の形状が『GQuuuuuuX』版ガンキャノンに近いことを考えれば、その位置付けも頷ける。ただ、型番は「RGM-79」であり、こちらは初代『機動戦士ガンダム』に登場したジム(GM)の型番と同じ。つまり「シャアのせいでガンキャノンベースの機体になっちゃいましたが、今作でのジム枠はこのモビルスーツですよ」と、ネーミングと型番だけで主張しているわけである。
さらに設定の話を書けば、ジムはあくまでガンダムをベースに量産された機体ということになっている。だが一方でコア・ブロック・システムは簡略化されており、この辺りに関しては軽キャノンの方が作りがリッチだ。また、ジムは生産コストの観点からチタン系合金を装甲材として使用したが、軽キャノンは試験機であるガンダムと同じルナ・チタニウム合金を使っていると書かれている。こういった設定を鑑みるに、構造的にも素材的にも軽キャノンはジムほど大量に数を揃えることができるモビルスーツではないように思う。
一般に「連邦軍は物量でジオン軍に勝った」と解説されがちだが、『GQuuuuuuX』の連邦軍がジオン軍に敗北したのは、ジムに比べると生産性に難がある軽キャノンを主力モビルスーツにせざるを得なかったことで、物量差を活かした戦い方ができなかったからではないか……という推測も成り立つ。軽キャノンが主力になったのはシャアがガンダムとペガサスを強奪したからなわけで、そうなるとガンダム強奪によって連邦軍のモビルスーツ開発計画を大きく狂わせた『GQuuuuuuX』のシャアは、本当に一人で戦局をひっくり返してしまったことになる。すごいな、シャア。




















