お笑い芸人“二刀流”増えた背景は? 新たな賞レース『ダブルインパクト』の影響を識者が解説

 漫才とコント両方のネタを審査して、“二刀流芸人”No.1を決める新たな賞レース『ダブルインパクト~漫才&コント二刀流No.1決定戦~』(以下『ダブルインパクト』)の開催が発表された。日本テレビと読売テレビがタッグを組んで行われる同大会は、2人以上のグループであれば、プロアマ問わず芸歴制限もなし。優勝者には、賞金1000万円が贈られる。

 漫才師No.1の称号を争う『M-1グランプリ』をはじめ、『キングオブコント』や『R-1グランプリ』など、それぞれの大会が盛り上がりを見せるお笑い界。従来の賞レースとは異なる本大会の意義や影響について、お笑い評論家のラリー遠田氏に聞いた。

『ダブルインパクト』が生む新たなスター

『ダブルインパクト』の開催決定について、ラリー氏は「お笑い界にとって良いこと」と前向きな意見を述べる。

「新しい賞レースが増えることで、チャンスを掴んで世に出る芸人も増えると思います。特にこれまでM-1やキングオブコントでは結果を出せなかった芸人でも、漫才とコントの両方が評価されることで、新たな可能性が生まれるのではないでしょうか」

 一方、漫才とコント両方のクオリティを求められる本大会のルールについては、難しさを指摘する。

「基本的に両方やるのは難しいです。大半の芸人はどちらかに特化しているので、両方を求められることで新たなタイプの芸人が台頭する可能性があります。漫才しかやってこなかった人がコントを作ったり、コントしかやってこなかった人が漫才を作ったりすると、“漫才っぽいコント”“コントっぽい漫才”になりがちです。そこをどうクリアするかが見どころになるでしょう」

“二刀流芸人”を増加させた『M-1グランプリ』

 最近では、ロングコートダディをはじめとする二刀流芸人が増えている印象があるが、その背景には『M-1グランプリ』の影響があるという。

「M-1の注目度が高まりすぎたことで、コント芸人でも漫才をやらざるを得ない状況になっているんだと思います。昔は漫才とコントは選択科目のようなものでしたが、今や漫才は必修科目になりつつあります。その結果、ピン芸人がユニットを組んでM-1に挑戦するケースも増えています」

 また、お笑い芸人にとっての「ネタ」の位置づけが変わってきたことも、二刀流芸人が増加している要因だという。

「かつてはテレビで売れることがゴールで、そのための手段としてネタをやっていた芸人が多かったのですが、今は『自分たちが面白いと思うことを表現したい』という気持ちで芸人を始めている人が多いように思います。そのため、ネタ作りに重きを置く傾向が強まり、漫才もコントもやることが当たり前になってきているのです。M-1で一度優勝した後もネタを作り続けた令和ロマンは、まさにその代表だと思います」

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