江戸時代の大坂と古代エジプトの意外な接点とは? 異色の歴史ファンタジー『青き瞳と異国の蓮』誕生の背景

『なんて素敵にジャパネスク』に感動して作家を志す
ーーあらためて結来月先生のキャリアについても伺いたいのですが、どんなきっかけで小説を書くようになったのでしょうか。
結来月:昔から本がすごく好きで、小さい頃は祖父母によく読み聞かせをしてもらっていました。幼稚園の頃には絵本のようなものを書いていたようで、もともと書くことに興味はあったみたいです。小説を書き始めた明確なきっかけは、小学生の頃に初めてライトノベルを買ってもらったことです。図書館に並んでいる本とはまた違った面白さがあり、とても感動して、自分も本を作る側に回ってみたい、と思うようになって。そこから短い小説を書くようになり、本格的に長編を書き、投稿を始めたのは大学生の頃でした。今ほど小説投稿サイトが盛り上がっている時期ではなかったので、レーベルの賞に原稿を郵送で送っていましたね。
ーーちなみに、初めて手に取ったライトノベルはどんな作品だったか覚えていますか。
結来月:氷室冴子さんの『なんて素敵にジャパネスク』(コバルト文庫)でした。新装版でしたが、漫画のようなイラストが表紙になっている本というのがとても新鮮で、気になって祖父に買ってもらったことを覚えています。本当に面白くて、そこから歴史ファンタジーを読むようになりましたし、「いつか自分でも書いてみたい」と憧れました。いまも大切に、全巻本棚に並んでいます。
ーー実際のデビューに際しては、どんなきっかけがあったのでしょうか。
結来月:何かの賞をいただくということは叶わなかったのですが、当時はレーベルによっては小説の持ち込みを受けつけていたこともあり、自分でご連絡して、作品をお送りしていました。それがご縁で編集さんにお声がけいただき、お仕事につながって。ありがたいことに2024年に作家として10年目を迎え、その年に歴史ファンタジーを出せたので、とても嬉しく思っています。自分では面白い作品になったと考えていましたが、小説投稿サイトではランキングの上位にいた作品というわけでもなかったので、お声がけいただいてとても驚きました(笑)。
ーー本作のあとがきに、編集担当の田中さんから感想を熱く語ってくれたと書かれていますね。
田中:すごく衝撃を受けたことを覚えています。「江戸時代」と「古代エジプト」というテーマが頭にバンと入ってきて、これだけ歴史も文化も違うのに、違和感なく融合しているのが素晴らしいなって。オビにも書いてあることですが、作品のなかで「一蓮托生」という言葉がキーワードになっており、これがまさに璃兵衛とレンの関係性をそのまま表していて、私が理想としているバディ像でもありました。しかも江戸時代の大坂という舞台で、璃兵衛の方が少し常識を外れた考え方で、まさかエジプト人のレンの方が常識人だなんて、このバランスもすごく面白くて。そんな衝撃を受けたまま、ファンのように感想を語ってしまいました(笑)。
ーーまだまだ続編が作れそうな、強い土台がある作品ですね。
田中:私もいちファンとして、続編を希望しています(笑)。
結来月:読者の方にもそういった声をいただいていますし、私としても二人の活躍をまだ書きたいなと思っているので、続編を出せるように頑張りたいと思っています。私自身、これまでいろいろなジャンルの作品を読んできたこともあり、ジャンルにとらわれずいろいろな作品を書いていきたいという思いもありますが、『青き瞳と異国の蓮』はできることならシリーズ化して、長く続きを書いていけたらと考えています。コミカライズやボイスドラマなど、小説以外の形でも二人の活躍を皆さんにお届けできたら嬉しいですね。
■書誌情報
『青き瞳と異国の蓮 いわく、大坂唐物屋に呪いあり』
著者:結来月ひろは
イラスト:さくらもち
価格:792円
発売日:2024年12月20日
レーベル:ことのは文庫
特設サイト:https://kotonohabunko.jp/special/aokihitomi/





















