『呪術廻戦』虎杖悠仁の“成長”と「ダークヒーローの条件」ーー両面宿儺の違いはどこにあったのか

『呪術廻戦』に見るダークヒーローの条件

2人の「呪いの子」――虎杖悠仁と両面宿儺の違いとは

 その他、『ブラック・ジャック』(手塚治虫)や『宇宙海賊キャプテンハーロック』(松本零士)のような、「法にとらわれない自由なダークヒーロー」の活躍を描いた物語や、読み手に「真の悪」とは何かを問いかけてくる、『バンパイヤ』(手塚治虫)や『DEATH NOTE』(大場つぐみ・小畑健)などもあるが、その種の作品については、今回はここでタイトルを挙げるのみにとどめておく。

 さて、最後に『呪術廻戦』に話を戻すが、物語のクライマックス――虎杖悠仁は、両面宿儺との死闘の果てに、自らとの共生を呼びかけるまでの器の大きさを見せることになる。これは拳を交えていくなかで、虎杖が宿儺も自分と同じ「呪い」を背負って生まれた存在だということを実感したからに他ならない。

 それに対する宿儺の答えはここでは書かない。しかし、この時、虎杖悠仁は真のダークヒーローとして成長したのだといっても過言ではないだろう。

 いずれにせよ、虎杖には「正しい道」を教えてくれる祖父がいた。一方の宿儺には、(裏梅という理解者はいたものの)「導いてくれる者」がいなかった。このことが、同じ「呪いの子」である2人の勝敗を最終的に分けたのだといっても、あながち間違いではあるまい。

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