長寿麻雀漫画『天牌』が紡ぎ出す新たな伝説ーー嶺岸信明が引き継ぐ、原作者・来賀友志の遺志

原作者の来賀友志が2022年5月に亡くなって以来、第1141話で物語が止まっていた麻雀漫画『麻雀飛龍伝説 天牌』が、2月27日発売の「週刊漫画ゴラク」(日本文芸社)にて、「原案:来賀友志・作画:嶺岸信明」という形で再始動。物語は中断直前の緊迫した場面である「第四次赤坂『天狗』新満決戦」の決勝戦、2回戦東3局にて、柏木の打牌後のシーンからそのまま繋がる形で始まり、長年本作を読み続けてきた読者からは喜びの声が上がっている。
新満決戦とは、伝説の雀士・黒沢義明の師匠である新満正吉が、自らの死期を悟って開催を依頼した一大決戦。選ばれた最強の博徒たちが赤坂の雀荘「天狗」に集い、現在はその頂点を決める決勝戦の真っ只中だ。卓を囲むのは、黒流会の代打ちである三國健次郎、若手の北岡静一、実力者の鳴海弘富、そして黒沢の実子の可能性が示唆されている柏木裕也の4人。主人公の沖本瞬は、予選敗退の立場からその勝負を後ろで見守るという構図になっている。
本作のリアリティと熱量を支えていたのは、来賀の異色の経歴に他ならない。来賀はかつて麻雀にどっぷりと浸かった生活の中から雑誌「近代麻雀」の編集部へと入り、編集長まで務めた人物だ。麻雀を深く愛し、その酸いも甘いも知り尽くしていたからこそ、一打に宿る緊迫感や雀士の心理を極限まで描き出すことができたのである。
来賀は生前、他のファンタジー作品に負けないパワーを誌面で出すため、キャラクターの情念を強調するドラマチックな描写を大切にしていたという。指先が牌を砕くような気迫や、負けた者が絶望する壮絶な表現。これらは、常に新しい刺激を求める読者の期待に応え続けるための挑戦でもあった。特筆すべきは、キャラクターたちが吐露する麻雀へのあまりに純粋な愛だ。主人公の瞬が言い放った「俺は昔から1日24時間のうち25時間は麻雀のこと考えてるから」という言葉は、本作の精神を象徴している。
また、最強の男・黒沢が窮地で見せた「最後にはちゃんと笑顔を見せてやるよ」という不敵な笑み。こうした勝負の果てに剥き出しになる人間の本質こそが、多くの読者の心を掴んで離さない魅力となっている。また、ファンが離れなかった背景には、単行本100巻を超える長期連載が生んだ作品への愛着もある。師弟関係やライバルとの因縁など、物語が深まるほどキャラクターの個性が際立ち、ファンの期待がさらに深まっていった。
注目されるのは、盟友であった来賀の遺志を作画の嶺岸がいかに引き継ぐかという点だ。連載再開にあたって、嶺岸は「来賀先生のスタイルを守りながら作品を続ける」という強い決意を明かしている。それは単に物語の筋を追うことではなく、来賀がキャラクターに込めた魂や、牌の一打に宿る情念を嶺岸が一人で背負い、具現化していく作業に他ならない。
来賀の遺志と嶺岸の覚悟が重なり、物語は再び力強く動き出した。卓上に火花散る新満決戦の行方、そして瞬が辿り着くその先の景色まで、新生『天牌』が紡ぎ出す新たな伝説を完結まで見届けたい。

























