【ライトノベル最新動向】宇宙冒険ものや魔法もの、悪役貴族ものとバラエティに富んだ新作が続々

12月ラノベ、バラエティに富んだ新作続々

 新作に面白そうな作品がならんだ2024年12月のライトノベル。第9回カクヨムWeb小説コンテストエンタメ総合部門で大賞となった榮織タスク『銀河放浪ふたり旅 ep.1 宇宙監獄の元囚人と看守、滅亡した地球を離れ星の彼方を目指します』(電撃文庫)は宗教団体の教祖候補として育てられたカイト・クラウチが、捕まって宇宙空間にある監獄で服役していたら地球が滅亡の危機に瀕してしまう。

 監獄にいても食料や空気が途絶え死んでしまうため、地球に戻るしか道はなかったが、カイトはどうせ死ぬなら遠くへ行こうとして太陽系の外へと向かい、そこで人類が未だ出会うことのなかった知的生命体に助けられる。バラエティに富んだ宇宙人たちとの出会いがあり、球体だった看守ロボットが改造されて少女の形になってカイトと共に行動する展開もあってと、楽しく読める宇宙冒険小説だ。12月10日発売。

 第20回目のMF文庫Jライトノベル新人賞で最優秀賞を獲得した芥辛子『エンバーミング・マジック 魔法を殺す魔法』(MF文庫J)。目の前で女の子が車にはねられたのを見た主人公が禁忌の魔法を使って女の子を助けたものの、同時に家入ナギを猫にしてしまった。そのままでは魔物になってしまうナギを消さないで済むようにするために、ナギに魔法を覚えさせるがうまくいかないままタイムリミットが迫る。謎めいた主人公の過去も気になるミステリアスファンタジーだ。12月25日発売。

 『モブだけど最強を目指します! ~ゲーム世界に転生した俺は自由に強さを追い求める~』の反面教師も新シリーズ『最強の悪役が往く ~実力至上主義の一族に転生した俺は、世界最強の剣士へと至る~』(電撃文庫)を刊行。VRMMORPGの世界に転生して悪役公爵家の一員になった主人公だが、転生した人物はゲームではただのモブ。そこからストーリーに介入し、主人公になっていくために企みを巡らせる。ゲーム世界への転生が得意な作者ならではの面白さが詰まっていそう。12月10日発売。

 八又ナガト『ゲーム世界のモブ悪役に転生したのでラスボスを目指してみた~なぜか歴代最高の名君と崇められているんですが、誰か理由を教えてください!~』(GA文庫)タイトル通りにモブ転生からの成り上がりストーリー。ラスボスにとって変わって悪逆非道な振る舞いを繰り広げようとしたものの、なぜか暴君ではなく名君と慕われていく勘違いストーリーを楽しめそう。12月15日発売。続々と作品が登場してくる“悪役貴族もの”はどこまでブームを作るか?

 『バスタブで暮らす』で社会に適応できなくなった女性のヒリヒリとした日々を描いた四季大雅だが、新刊『クラスで浮いてる宇良々川さん』(ガガガ文庫)は物理法則に逆らって浮いているクラスメートの少女と、物理学を信奉する少年が鳥人間コンテストを目指すという不思議さにあふれた青春ストーリーになっている。作風が変わったのか、それとも読めば感じられる切なさがあるのか。12月18日発売。

 暁刀魚『隣の席の王女様、俺の前だけ甘々カノジョ』(ファンタジア文庫)は魔導学園に特待生として入った主人公の少年が、正体を隠して学園に通う王女様と仲良くなるという羨ましい展開から、平民出身者として虐められる少年が特待生としての本気を見せて貴族の子弟を圧倒する逆転劇へと進んで楽しませてくれる。12月20日発売。

 単行本・ノベルズでは『魔物使いの娘~緑の瞳の少女~』(DREノベルス)がイラストレーターに『りゅうおうのおしごと!』や『86-エイティシックス-』の装画を手がけたしらびを迎えていて注目。魔王が生み出した魔物たちを従えたという魔女リングリーンの末裔・リーンも同じような力の持ち主。そのリーンに命を救われた冒険者のクハラは、魔女狩りの異名と取っていたにも関わらず、リーンと一緒に旅に出る。相容れないはずの魔女と冒険者の関係がどう進むかが気になる。12月10日発売。

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