浅田弘幸が原画展で見せる、伝説的バスケ漫画の新たな世界ーー「I’ll-WILD DIAMOND-」レポート
誰の心にもある「いつかの海」
また、周知のように、近年、漫画の作画の主流はデジタルになっているのだが、本展ではアナログ原画の美しさを再認識することができるだろう。白と黒のキアロスクーロ(明暗対比)が鮮烈な浅田の絵は、むろん印刷物として大量に複製されることを前提に描かれてはいるのだが、「原画」の状態でも充分見応えのある「作品」として完成されている。
何かと生成AIの進化が話題になりがちな昨今ではあるが、「人の手で描かれた絵」の迫力は、まだまだ機械には出せないのではないかと個人的には思っている。
いずれにせよ、「いつかの海」という言葉で「青春の輝き」を表わした『I’ll-アイル-』という作品は、夏にこそ読む(見る)べき物語だといえるだろう。そういう意味でも、今回の「浅田弘幸原画展 I’ll-WILD DIAMOND-」は、いま立花や柊のように青春時代のまっただなかにいる人たちだけでなく、かつて仲間たちと一緒に“何か”に夢中になったことのある大人たちにも、ぜひ足を運んでいただきたい原画展なのである。
■浅田弘幸原画展 I'll ー WILD DIAMOND ー
https://dscaiman.com/exhibition/wild-diamond/