夏休みの読書感想文にオススメ! 本好き物語好きが愛おしく思わずにいられない『物語を継ぐ者は』

 さらに現実世界の出来事も、結芽の成長を促す。結芽と琴羽が所属する文芸部は、漫画を持ち込んで騒いでいるばかりで、小説の好きな二人は、片隅で完結篇の相談をしている。でもそれが、とても楽しそう。片隅の楽園というべきか。学生時代にこういう場所があることは、幸せなことである。

 しかし性格の合わない母親との関係は、なかなか上手くいかない。ついに衝突した結芽は家出してしまう。とはいえ家出先は書店である。ああ、その気持ちはよく分かる。本好き物語好きの逃げ場所として、書店ほど相応しい場所はない。このようなストーリーと、それを創り出した作者に共鳴してしまう。

 母親との関係の改善など、やや予定調和のところがないでもない。しかし、読者の予想をちょっと外しながら、気持ちのいいラストに導くところなど、作者の才能が感じられた。今後の活躍が期待できる新人なのだ。

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「書評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる